DIOR
MAISON CHRISTIAN DIOR THE CACHEMIRE(2017年)
調香師:フランソワ・デュマシー
おすすめ度:★★★☆☆
(公式HPより)
2017年10月、表参道を含めて世界3店舗からスタートした「メゾン クリスチャン ディオール」。
このメゾン クリスチャン ディオールは、それ以前のディオールの最高級ラインの「ラ コレクシオン プリヴェ」から移行された11作と別に、新たに追加された10作のなかの1つにあたる。
テ カシミア(カシミアティの意)について、フランソワ・デュマシーは、
これはカシミアのセーターのようにやわらかく贅沢なコンポジションです。ほんのりスモーキーに香るパワフルかつ繊細なホワイトティーが、マテのニュアンスが添えられたローズの香りに染み渡ります。テ カシミアは、白い花々のように鮮やかに輝き、コンポジションに調合されたムスクのように、心地良さで包み込むフレグランスです。
ととても分かりにくく説明している。
ではいったいどういう香りかと言うと、
トップはシトラス・グリーン。
爽快なレモンの香りから、みずみずしいベルガモット、さらにはペチグレンのグリーンが加わることで、ティーのような渋みが出てくる。黄色から緑色に移り変わっていく、その一連の流れがとても美しい、レモンティーのような幕開け。
ミドルはグリーン・フローラル。
爽やかなシトラスと、少しスモーキーなティーの香り。ネロリのイメージに近い明るいフローラルが眩しい。ティーの香りはさらに渋みが増していくと思いきや、この明るいフローラルに引っ張られるようにグリーンが立っていくため、ややメタリックなグリーンの強いティーの香りに。
紅茶の甘さや渋みよりも、爽やかなフローラルグリーンが勝っているようなイメージ。
ベースはウッディ・ムスキー。
ティの酸味とメタリックグリーンがやや鼻に付くが、その奥からティーの深みもしっかり香ってくる。最後はグリーンや酸味、さらにローズのようなフローラルをほんのり香らせながら、ウッディムスキーがティーを柔らかく薄めるようにドライダウンしていく。
ティーの深みはそれほどなく、またベースのウッディムスクも淡いため、全体的に軽い香りだと感じる。持続時間は4時間程度。
シトラスやグリーンが強めのティーノートであり、グリーンが少しキンキンしているため、高温多湿な梅雨から真夏にかけて活躍する。
嗜好の良い、とても明るいシトラスティーの香りのため、この金属質なグリーンノートが気にならないのであれば、とても使いやすい香りだと感じる。
このテ カシミアに、さらにフローラルの輝きを与え、よりティーに深みを加えることで玄人向けにした香りがゲランの傑作ネロリ ウートル ノワで、もしテ カシミアが気に入ったのならば、そちらもぜひおすすめしたい香りだ。