HERMES
EAU DE RHUBARBE ECARLATE
調香師:クリスティーヌ・ナジェル
おすすめ度:★★★★☆


(公式HPより)
ルバーブ エカルラットという名の赤いコロン。
コロン=シトラスではなく、赤いキャラクターがあり、さらにフレッシュで清潔な香りのため、とても重宝するコロンだと思う。
エスメスのコロン コレクションは、素材にインスピレーションを得た “嗅覚のスナップショット” で、このルバーブ エカルラットはその名のとおり、ルバーブをフォーカスした香り。
クリスティーヌ・ナジェルはルバーブについて、”視覚と嗅覚の二重性、色は緑から赤へと変化し、強い酸味は甘美で柔らかなものへと変貌にしていくことに魅了されてきた”と述べている。
ではルバーブのコロンはいったいどういう香りだろうか。
トップはシトラス・フルーティ。
真っ赤なボトルをスプレーすると、とても人工的で、弾けるような爽快なピンクグレープフルーツが鼻を刺激する。非常にケミカル的かつ攻撃的なシトラスだ。
そこから、グレープフルーツの果皮に甘さを増したような、可愛らしいレッドベリーが香る。ここでパッと赤イメージに一転していくようなオープニング。
ミドルはフルーティ・グリーン。
ベリーの金属質な硬さや酸味、甘さを残しつつ、奥からニンジンを思わせる野菜的な甘さが香ってくる。このベリーの硬い酸味は、ペアの芯のようなカサカサした渋みがあり、それが野菜の仄かな甘さを引き立たせて、さらにナチュラル感も与えてくれる。
ミドルの爽やかな酸味と野菜的な甘さの組み合わせは、ありきたりなフルーティ・フローラルとは一線を画すキャラクター、さらには爽やかさを兼ね備えていて、なおかつとても嗜好が良い優れた香りだと思う。
ベースはムスキー。
フルーティの酸味やコクや甘さに、石鹸のような清潔感のある軽めのムスクの香り。キーとなる硬さや酸味が、この石鹸の香りをより清潔に仕上げている。
持続時間は2時間程度。フルーティを主体とした香りなのに、目の覚めるようなフレッシュ感、鼻に残らない程度のうっすらとした甘と、そしていつのまに肌に溶け込むような清潔感のある香り。とにかく使いやすい香りだと思う。
春から夏にかけて、シャワーを浴びた後に気が付くと手を伸ばしている。ボトルの色と同様、スプレーした瞬間、パッと気持ちのスイッチが入る。
オー ドゥ ルバーブ カラメットは、2014年よりエルメスの専属調香師となったクリスティーヌ・ナジェルによる初のコロン作品で、エルメスに限らず、今までのコロンの香りの延長線上にはなかった、とても斬新な香り。
さらに、スッキリ目の香りを強く主張させて、野菜的な甘さを引き出しながら、最後は清潔な香りが肌になじんでいくようなこの流れは「ナイルの庭」と重なる。新しくもあり、そしてきちんとエルメスらしさも押さえたコロンの傑作だと思う。