DIPTYQUE
EAU DE SENS(2016年)
調香師:オリヴィエ・ぺシュー
おすすめ度:★★★☆☆
(公式HPより)
ネロリ、オレンジフラワーの香りに魅せられる。
無意識にネロリには輝きを、オレンジフラワーには一癖を求めてしまうようだ。
オー デ サンスは五感を惑わせる香りです。肌を優しく撫でるような香りは、触れているような錯覚を起こします。その香りを吸い込むと、感覚を震わせ、美食の喜びを思わせ、清らかな滝の音のようにフレッシュな気持ちにさせてくれます。(公式HPより)
五感を惑わす。さすがにそこまでではないとしても、他のオレンジフラワー系の香りとは異なる一癖が添えられているため、発売してわりとすぐに手に入れた1本だ。
トップはシトラス・グリーン。
まるでクラシカルなメンズシトラスコロンを彷彿させるような苦味のあるビターオレンジと、スパイシー強めなグリーンを効かせたオレンジフラワーの香り。しかしながらこのシトラスは一瞬で終わる。
ミドルはフローラル-アロマティック。
オレンジのフレッシュ感が飛ぶと、オレンジフラワーの深みが増すと同時に、ジュニパーベリーのキリッと冷たい香りが顔を出す。このオレンジフラワーとジュニパーベリーの違和感のある組み合わせがとてもアロマティックで独特なキャラクターを創り出している。肌に乗せるとここまでが30分程度。
ベースはアロマティック-ウッディ。
今度はペチグレンが強めなオレンジフラワーと、アンジェリカのセロリを思わせる青っぽいハーバルと、やや湿ったパチョリ、軽めのウッディアンバーやムスクが、水彩画のように淡く混ざり合った香り。肌に乗せると、アンジェリカやドライなウッディに、オレンジフラワーが乗っかる形でキレイにまとまるため、バーチのような硬さと、それでいてどこか青いペチグレンが効いたオレンジフラワーの香りが続いていく。
持続時間は4~5時間程。
オレンジフラワーの香りは同系統のネロリにはない、良くいえばザラっとしたナチュラル感がある。悪くいえば、その特徴がスパイシーやグリーンやさらにウッディに映ってしまうと、暑苦しく感じてしまう。真夏に使うとより顕著で、特にドライアンバーとの組み合わせは、真夏だと辛い!とすら感じてしまう。
だからこそ、ハーバルやメタリックなグリーンを合わることで、爽やかに仕立てたオレンジフラワーが好みなわけだが、このオー デ サンスのような、キリッとしたジンのような冷たさや、アロマティックなみずみずしさで仕上げた香りは今までなかったため、新しいな、攻めてるな、でもどこかバランス悪いというか、違和感を感じてしまう。
特にベースの硬くて青くさいペチグレンはクセが効きすぎているためか、斬新であるけれども、何か引っかかる、すべてを受け入れがたい何かを感じる香り。
オー デ サンス。五感すべてではないにせよ、間違いなく嗅覚を惑わせる香り。