DIOR
MAISON CHRISTIAN DIOR COLOGNE ROYALE(2010年)
調香師:フランソワ・デュマシー
おすすめ度:★★★☆☆
(公式HPより)
今日のフレグランスの祖とされる「オードゥコローニュ」は、現在のオーデコロンの語源になったとされる。
その後、オーデコロンは様々な登場し、シャネル、ゲラン、ディオールのコレクションには、複数のオーデコロンがラインナップされている。
ディオールのエクスクルーシブラインにあたるメゾンクリスチャンディオール(MCD)。元々このコローニュ ロワイヤルは前身のコレクシオン プリヴェから発売され、そのままMCDに移行された11作のうちの1本。どちらにせよディオールにとって、最上級のオーデコロンといって差し支えない。
ディオールの専属調香師、フランソワ・デュマシーは、このコローニュ ロワイヤルについて、クリスチャン・ディオールが憧れた18世紀の宮廷からインスピレーションを得たとしており、コロンの調香は原料の品質、とりわけシトラスフルーツの品質が、フレグランスの善し悪しを決定するため、最も香り高い香料を探し求めたと語っている。
調香や原料に自信があるためなのか、ドゥマシー氏自身も使用しているとのこと。
その香りをみると、爽やかさ、明るさ、みずみずしさなど、透明感のあるシトラスコロンに仕上げられている。
トップはシトラス。
このコロンの白眉、とてもフレッシュなレモンの香り。キラキラと輝くような爽快なレモンで、スプレーした瞬間にテンションが上がる。そこからグリーンがかったマンダリンやプチグレン、さらにオレンジの甘さが増す。少しだけラベンダーのようなハーバルな香りも感じられる。
ミドルはシトラス・フローラル。
レモンの酸味やフレッシュ感をしっかり残しながら、プチグレンのグリーンと軽やかなネロリが香る。シトラス、グリーン、フローラル、それぞれが主張しない、繊細で控えめなライトフローラルを、ウォータリーなオゾンノートがみずみずしく演出している。
ベースはムスキー。
爽やかなネロリの残香を、真っ白いムスクや淡いサンダルウッドが、エレガントに包み込んでいく。
実際に肌に乗せると、トップからミドルが30分程度、香りが消えるまで1時間半から2時間程度。オーデコロンなので、持続時間は問題ではない。
トップからミドルのフレッシュなレモン、ジュシーなオレンジ、軽やかなネロリまでの流れは、いつ肌に重ねても清々しい気持ちになる。
ところが、ミドルの爽やかなシトラスをみずみずしく演出していたオゾンの香りが、特に日本のような湿気の多い夏に使用すると、油っぽさ、青臭さ、暗さが出すぎてしまうためか、時間が経つにつれて少々鼻に付く。
おそらく、このオゾンノートで爽やかなシトラスにみずみずしさを付与したかったかもしれないが、ベースに移るにつれて、ムスクと合わさって、とても粉っぽく感じる。
調香師がこだわり抜いた高品質な素材に、一滴だけ加えた素材が、透明な香りに一点の曇りを与えてしまったように映る。
付け始めてからの30分は、至福の時間であることは確かではあるが、日本の夏にはあまり向かないのかも知れない。ディオールのコロンであれば、何もコロン ロワイヤルではなく、ディオール オム コロンをおすすめしたい。