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ルイ・ヴィトン:カリフォルニア ドリーム

LOUIS VUITTON

CALIFORNIA DREAM(2020年)

調香師:ジャック・キャヴァリエ

おすすめ度:★★☆☆☆

 

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画像出典:公式HP


ジャック・キャヴァリエが西海岸で出会った、限りなく広がる青空から美しいグラデーションの空へと変わる夕暮れのひととき。カリフォルニアドリームは、その美しい風景を香りで表現したとのこと。

そんな西海岸の夕焼けが凝縮されたような、美しいグラデーションのボトルをスプレーすると、、、

 

トップはフルーティ・シトラス。

みずみずしく爽やかなマンダリン、そしてグリーンの強いペアの香り。ペアの苦みがマンダリンを甘さを引き立たせ、ジューシーな香りにしている反面、このペアがカサカサ乾いた印象で、少し鼻についてしまうオープニング。

 

ミドルはグリーン。

このペアの芯のような青い苦みが増していくため、オレンジの甘さがさらに引き立つ。それらをアンブレットシードが、白いモヤをかけていくように、白く、柔らかくまとめていくようなイメージ。うっすらと香るベンゾインの甘さは、肌に乗せた方が存在感が増すため、オレンジの甘さがなんとなくマンゴーのように香ることで、トロピカルな印象が強くなる。このアンブレッドシードとトロピカルの組み合わせがどこか寂しげで、夕焼けというコンセプトに合致する。また、ミドル中盤から顔を出す乾いたウッディがその寂しさを後押しているように感じる。

 

ベースはムスキー・ウッディ。

そんなグリーンウッディや、ベンゾインの柔らかい甘さを、ムスクが上品に包んでいくような香り。最後はマンダリングリーンのウッディの残香が、夏の夜のように、静かな余韻を与えるいく。

 

夏をイメージさせるような、マンダリンのみずみずしく甘い香りが1時間くらい、そこからマンダリンのグリーンが霞みながら、ウッディやムスクにの香りは6時間近く持続する。

 

カリフォルニアドリームの主役はマンダリンオレンジだ。
ヴィトンの弾けるようなみずみずしさ、フレッシュなグリーン、上品な甘さがあり、かいでいてとても気持ちが良い。ジャック・キャヴァリエが多用したくなるのも頷ける。

というか多用しすぎで、ルジュールスレーヴに始まり、アフターヌーンスイム、メテオール、そしてカリフォルニアドリーム。個人的には、ルジュールスレーヴのマンダリンの香り方がもっとも気に入っている。

このマンダリンに、ペアを合わせることでフレッシュなグリーンを引き立たせ、またベンゾインの仄かな甘さで、トロピカルな印象のフルーティな香りに仕上げて、パッとかぎの嗜好は良いという思う。

 

次第にマンダリンやペアが乾いていき、ウッディと重なっていくため、香り全体も暗くなっていく。

夏の照り返す太陽の下よりも、日中の熱気が去った、ボトルの夕焼けのような、夕方以降に似合う香りだと思う。

 

グリーンやウッディがかなり荒っぽく香るため、日中に手首に使うと、香りがキレイに立ってくれない。昨年はこの使い方に苦労した。

でも、お盆を過ぎた頃、まだ少しだけ空が明るい夕方以降に、ウエスト周りに使ってみると、最初はみずみずしい甘さに包まれながら、夜の帳が下りるように、少しずつ暗くなっていく香りの流れを楽しむことができた。

 

そして何といっても、アレックス・イスラエルのシグネチャーモチーフである「カリフォルニアの空」とコラボレーションした、ボトル、箱、そしてショッパーは格別な美しさがある。これらを眺めているだけで、香りの欠点を補う以上の価値がある。部屋に飾っているだけで、西海岸の夕焼けに誘ってくれる。