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ル ラボ:チュベローズ 40

LE LABO

TUBEREUSE 40(2006年)

調香師:アルベルト・モリヤス

おすすめ度:★★★★☆

 

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 画像出典:公式HP

 

2006年にニューヨークで誕生したルラボ。

生誕の地、ニューヨークのシティエクスクルーシブがチュベローズ40であり、シティエクスクルーシブ コレクションもこの香りから始まった。

 

はたして、始まりの香りはどんな香りなのだろうか。
 
トップはシトラス・フローラル。
スプレーすると、ピリッとした苦みと甘さのあるタンジェリンや、アロマティックなベルガモット、そしてペチグレンを合わせたシトラスグリーンの香り。でもすぐにそのシトラスグリーンをオレンジフラワーが優しく包み込む。
このオレンジフラワーのフローラルな白さが際立っていて、シトラスの爽やかさをフローラルのミストで拡散しているようなイメージ。
 
ミドルはフローラル・グリーン。
そしてこの香りの主役、チュベローズが顔を出してくる。
最初のチュベローズは、ハーバルグリーンがローズマリーがエスコートしている。チュベローズの花に少しメタリックな硬さが添えられていて、若々しい印象だ。その硬く鋭いチュベローズをフローラル感をウォータリーなミモザが水気を与えている。
そこからジャスミンの甘さがじんわりと加わることで、濃厚なチュベローズの香りに変化していく。このチュベローズの溢れるような花の熱気を、ウォータリーなミモザが冷ましているようだ。
背後から、セダーウッドがビターな苦みを与えることで、プチグレンやローズマリーのグリーンの面影を残している。
 
ベースはウッディ・ムスク。
フローラルの主役がジャスミンに移っていく。このジャスミンとサンダルウッドの組み合わせはとても女性的な香り。同時にメタリックでアーシーなオークモスの香りがはっきりしてくることで、キーンした鋭さも立ち、トップに似た爽やかさも感じとれる。
このキーンとした爽やかさを残しながら、バニラとムスクを合わせたようなアンブレッドの香りが、香り全体を淡くまとめ、そのままドライダウンしていく。
 
シトラスグリーンのフレッシュなチュベローズが1時間くらい、そこからみずみずしいフローラルが前に出た香りが3時間、最後のアーシーなフローラルムスクの甘い香りは6時間以上持続する。
 
フレッシュなシトラスやグリーン、濃厚なホワイトフローラルを合わせた香りで、春から夏向きの香りだと思う。
 
ムエットの香りは、ネロリポルトフィーノに似ている。ネロリポルトフィーノをよりナチュラルに、よりパワフルにしたような印象だ。
真夏に肌に乗せてみると、チュベローズやミモザ、特にジャスミンのフローラルな甘さがより強くなるため、さながらジャスミンポルトフィーノのような香りだと感じる。
 
重厚なホワイトフローラルブーケを、ビターなシトラス、ハーバルなグリーン、そしてアーシーなオークモスで囲むことで、クラシカルなシトラスコロンでアレンジしたような香りで、個人的には非常に好みの香り。シトラスコロンの香りを、パフュームエクストラクト(賦香率30%の高濃度)にすることで、香りの変化、深み、持続力を持った、クラシカルシトラスフローラルのフレグランスが完成されている。実にルラボらしく、そして先見性のある作品だと思う。
 
もし、シティエクスクルーシブの発売時期が半年ずれていたら、このクラシカルなチュベローズコロンを真っ先に手に入れていたのではないだろうか。