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ル ラボ:リメット 37

LE LABO

LIMETTE 37(2013年)

調香師:フランク・フォルクル

おすすめ度:★★★☆☆

 

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画像出典:公式HP

 

サンフランシスコのシティエクスクルーシブのリメット37。

フィルモア・ストリートにあるルラボの店舗からサンフランシスコ湾までの急な道のりを真似た、嗅覚の構造を探求した香りとのこと。

 

リメットとはライムの意で、ルラボが表現するライム、そしてサンフランシスコはどんな香りかというと、

トップはシトラス・グリーン。

スプレーするとグリーンの苦みを効かせたライムとベルガモットのアロマティックな甘さ。ペチグレンがライムのグリーンのに深みを持たせ、クローブがライムの苦みを湿った印象にしている。メンズ的なオープニングだと思う。

 

ミドルはフローラル・グリーン。

爽やかなシトラスを立たせたまま、その奥の湿った苦みを効かせたグリーンを、ジャスミンのフローラル感が少しずつ明るくしていくようなイメージ。どことなくアイリスを思わせる湿ったグリーンを纏ったジャスミンの香り立ちが、あのN°19の面影と重なる。

このグリーンを纏ったジャスミンが、厚いムスクに包まれるように、柔らかいな印象に向かっていく。

 

ベースはムスキー・ウッディ。

柔らかいグリーンジャスミンの香りを残しながら、アロマティックなベチバーや、アーシーなオークモスの存在感が増していく。このグリーンイメージのベチバーの香りは、あのオーソバージュを思い出させる。

このままメンズぽいアロマティックウッディの香りでドライダウンしていくと想像していると、これらも全てムスクの香りに調和していく。トンカビーンの白い甘さを添えて。

 

コロンのようなシトラスから、ジャスミングリーンの香りが2時間くらい、そこからアロマティックウッディを忍ばせた真白いムスクが4〜5時間持続する。

 

ベルガモットのみずみずしさ、ライムの苦みが感じられる、夏に似合うジャスミンの香りだと思う。このキラキラしたベルガモットやジャスミンやクラシカルなウッディを、ムスクが優しくまとめたような香り。

 

個人的には、このリメット37は捉えどころのない香りだと感じている。

クラシカルな雰囲気のビターなシトラスグリーンから始まり、グリーンと重なったジャスミンが香ることで、夏をテーマにしたフローラルの香りかなと思わせつつ、そこからアロマティックなウッディが顔を出す。グリーンやフローラルやウッディに、夏の突然のスコールの後の、湿ったイメージの似ている。懐かしさとナチュラルが融合したような香り。

そのような方向性をムスクが覆ってしまっているように感じられる。

リメット37について「何か特別な香りを嗅いでいるという確信的な感覚と、清潔感のある、フレッシュで幸福な印象を混ぜ合わせた嗅覚のジェットコースター」としている。
確かにジェットコースターに乗っているように、香りという景色がスピードに乗って次々と移り変わり、ようやくその香りを捉えたと思った時は、すでにゴール直前のムスクの香りだった。
もう少し使い込んでみたい香り。