LE LABO
CITRON 28(2020年)
調香師:ダフネ・ブジェ
おすすめ度:★★★☆☆
画像出典:公式HP
ソウルのシティエクスクルーシブ、シトロン26。
シトロンはレモンと似ているが葉や果実がより大きく、香りもより強い。また酸味が強く、生食はできないとのこと。ところがフランス語ではレモンがシトロンを指し、シトロンはセドラと呼ばれる(セドラ37という香りもある)。
ルラボはこのシトロン28について、「単なるレモンではなく、この柑橘類のアイコンにひねりを効かせた本物のレモンパフュームを目指しました」と説明している。
では本物のレモンの香りとはどんな香りだろうか。
トップはシトラス・スパイシー。
スプレーすると、シンプルなフレッシュレモンが香ってくる。そこにジンジャーを合わせることで、レモンの果皮の苦み、そして果実の酸っぱい甘みがよりくっきりと浮かび上がってくるようなオープニング。
ミドルはフローラル・グリーン。
フレッシュなレモンの果皮感を残しながら、濃厚なジャスミンの香りが拡散してくる。通常よりも、フローラルのみずみずしいコクが強い純白なジャスミンの香り。このジャスミンの鼻先では、レモンのグリーンな苦み(パウダリーなアルデヒド)が立っているため、ジャスミンとマグノリアのハイブリッドような雰囲気がある。そして、奥から仄かに香ってくるウッディが、グリーンなジャスミンの枝葉のようなナチュラル感を与えている。
ベースはウッディ・ムスキー。
縦軸はドライなレモンウッディが鋭く立ち、横軸はジャスミンがムスクのフワッとした白さが広がっている。やがてレモンやジャスミンが減退して、清潔なウッディとムスクの香りでドライダウンしていく。
爽やかで白さが映えるフローラルの香りで、春から夏にかけて活躍するのではと思う。
フレッシュなシトラスフローラルが2時間くらい、グリーンウッディを主体としたフローラルムスクは4時間程度持続する。
シトロンという名のみずみずしいフローラルの香り。
苦みを効かせたレモン、繊細で透明感のあるマグノリアのようなジャスミンなど、個々のパーツをみると、今時の新しい香りだと思う。弾けるようなレモンと、透きとおるような清潔感が合わさり、若々しさと都会的なイメージが伝わってくる。
シトロン28は「伝統と歴史に根差しながらも、モダンで先進的な考えの最前線にいるという、異なる顔を合わせ持つソウル。相反する力を包み込むことができる」香りとうたっている。
個人的には、今時、先進的、最前線などルラボらしくないキーワードが多いと思う。本物のレモンを意識するあまり、整形しすぎたレモンのようにも見えてしまう。
とはいえ、若々しさ、透明感、清潔感などがキレイにまとまった、とても洗練された香りであることは間違いない。