フレグランスアッセンブル

フレグランスの香りの変化を解析するサイト

ルイ・ヴィトン:コントロ モワ

LOUIS VUITTON

CONTRE MOI(2016年) ※廃番

調香師:ジャック・キャヴァリエ

おすすめ度:★★★★☆

 

f:id:captain_dora:20210906153907j:plain
f:id:captain_dora:20210906153914j:plain

画像出典:公式HP

 

コントロモワは、旅をテーマにした「レ パルファン ルイ ヴィトン」の5番目の作品。そして、コントロモワとは「もっと近くに来て」の意で、「秘めた想いを解き明かす」という言葉が添えられている。

 

コントロモワには、マダガスカル産バニラ抽出液、マダガスカル産バニラエッセンス、タヒチ産バニラの3つの異なる香りのバニラが使用された、ドゥーブルヴァニーユならぬトリプルバニラの香り。

 

トップはフルーティ・シトラス。

スプレーすると、お菓子のような甘いベリーとオレンジから、フレッシュなレモンが飛び出してくる。若々しく、とてもキュートなオープニングだと感じる。

 

ミドルはフローラル・バニラ。

トップの香りはパッと消え去り、ハーバルグリーンに近いペアの硬さを合わせた、みずみずしいマグノリアが花開いていく。
さらにフローラル感が強くなり、オレンジフラワーの輪郭がはっきりしてくる。このオレンジフラワーには第1のバニラ(バニラ抽出液)が重ねられていて、フルーティな酸味と甘みのあるとてもフレッシュなオレンジフラワーに仕上げられている。こんなフルーティなオレンジフラワー、もしくはこんなフレッシュなバニラの香りには出会ったことがない。
奥からは乾いたウッディのようなビーンズ感の強い第2のバニラ(バニラエッセンス)がうっすら感じられる。

 

ベースはバニラ・ムスキー。

フレッシュなバニラが落ち着いてくると、フローラル部分が可愛らしいローズとムスクのキラキラした香りに変化していたことに気づく。そのムスクと、第3のバニラ(よく知っているバニラ)を合わせた白バニラから、最後は少しずつココアのビター感を加えながら、ドライダウンしていく。

 

フルーティな酸味を効かせたフレッシュバニラが2時間くらい、そこからフローラルが感じられるバニラココアの香りが6時間近く持続する。

 

フレッシュなバニラの香り。しっかりバニラが主張するのにもかかわらず、真夏以外は違和感なく使うことができる。

 

コントロモワには罠が仕掛けられている。

香りがまったく異なる3種類のバニラを使いながら、表層はフローラルやフルーティを装っている。でも奥の方から官能的な甘さも漂っていて、気になって近づくと、とろけるような甘いバニラに酔わされる。でも、そのままとろけてしまうと思いきや、そのバニラの甘さもココアの苦みで隠されている。予期できない香りだと思う。

 

ヴィトンらしい最上級のマテリアル。正直、バニラのみでも充分戦えるのに、あえてバニラをサポート役に置き、調香師のこだわりや技を前面に出すことで、かつてないようなフレッシュなバニラの香りが完成されている。

 

改めて、ルイ ヴィトンのフレグランスは、やはり初期7作品のレベルがずば抜けて高い。どの作品も最上級のマテリアルを使用しながら、ジャック・キャヴァリエの才能が遺憾なく発揮されていて、それぞれの作品で独自の世界観を構築している。置きにいったような作品がない。

しかし、特に完成度の高いタービュランスダンラポーが廃番となった事実や、その後発売された作品を見てみると、ジャック・キャヴァリエが目指した世界観は、ヴィトンのファンにはそれほど受け入れられなかったかもしれない。

そして、ファンが求める方向へシフトチェンジできるジャック・キャヴァリエは、やはり凄腕の調香師だとも感じる。