GUERLAIN
AQUA ALLEGORIA GRANADA SALVIA(2020年)
調香師:ティエリー・ワッサー
おすすめ度:★★★☆☆


画像出典:公式HP
アクアアレゴリアのグラナダサルビアは、眩しい太陽光に溢れるスペイン南部のアンダルシア地方の、アルハンブラ宮殿をはじめ、涼しげな噴水や清閑な中庭、果樹園を有するグラナダの庭園を舞台に、散策を楽しみながら、ザクロの甘い果汁と、そのパリッとした食感を味わうひと時を描いた香り。
カラフルな明るさや、フレッシュで軽く、嗜好の良い香りが多いアクアアレゴリアのなかで、このグラナダサルビアはハーバルグリーン、アロマティック、ウッディがしっかり主張してくる、とても個性的な立ち位置だと思う。
トップはシトラス・グリーン。
スプレーすると、フレッシュなレモン、グリーンな果皮感が強いベルガモットと、アロマティックなカシスが香ってくる。
ミドルはフルーティ・アロマティック。
ベルガモットのグリーンを残しながら、パステルカラーの赤イメージのザクロのフルーティの甘さや酸味を、カシスが引き締めているような香り。さらにセージのアロマティック感やローズの酸味が、軽やかな雰囲気を演出していく一方で、奥の方からサイプレスのハーバルウッディが力強く香ってくる。
ベースはウッディ・ムスク。
アロマティックに包まれたザクロの甘酸っぱさや、ハーバルグリーン残香に、アーシーなオークモスやパチョリの淡いメンズのような香りを、ムスクがやわらかさを与えながらドライダウンしていく。
骨格にサイプレスやパチョリを効かせた、レッドイメージのフレッシュフルーティの香り。引き締まった明るいザクロが1時間強香った後は、少しずつハーバルウッディを加えながら、3〜4時間持続する。
ザクロを思わせる甘酸っぱさがしっかり感じられる香りで、個人的にはまだ暖かさのある9~10月がもっとも似合い、また、フルーティらしい明るさや、ハーバルなグリーンもしっかり香るため、春でも使えるのではと思う。
過去、アクアアレゴリアは定番が5種類のみで、熾烈な定番争いを繰り広げていた。それが現在では、美しい世界中の庭園をテーマに12種類まで広げられている。このグラナダサルビアの、少しメンズ的なアロマティック感の強いフルーティな香りが残ってくれればと思う。