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ディオール:ジャドール オードゥパルファム

DIOR

J’ADORE EAU DE PARFUM(1999年)

調香師:カリス・ベッカー →フランソワ・デュマシー

おすすめ度:★★★☆☆

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画像出典:公式HP

 

かつて、N°5を女王の座から陥落させた、ディオールの女王ジャドール。

1999年に登場して以来、世の女性を魅了し続ける香り。

ジャドールはその名前やボトルデザインがとても美しく、ディオールのレディースフレグランスの象徴的存在のように映る。


元々は、女性パフューマーのカリス・ベッカーが創作し、他のディオールのフレグランスと同じように、現在の香りはフランソワ・デュマシーの手によるもの。オリジナルと現行品を比較してみると、香りはかなり変わっている。

とはいえジャドールの世界観は維持させていて、個人的には、現在のジャドールも好きな香りだ。輝くようなフローラルと、グリーンフルーティを合わせることで、みずみずしくも大人らしい女性の香り。それでいてフレッシュ感もあるため、使いやすい香りだと思う。

 

トップはフルーティ・シトラス。

スプレーすると、果皮感の強いマンダリンやすっきりしたベルガモットに、ジューシーなピーチ、すっきりしたペアの香りが合わさったフルーティシトラスの香り。シトラスの後ろからピーチの甘さと、ペアのグリーン感が特に強く主張するため、メロンのようなウォータリーな印象もある。

オリジナルのトップは、マンダリンにバイオレットリーフのような重めのグリーンに、フルーティではなく、ハチミツを思わせるようなコクのある甘さがうっすらと漂っていた。

 

ミドルはフローラル・グリーン。

ウォータリーなグリーンフルーティを残したジャスミンと、明るく爽やかなネロリの香り。さらにフローラル感が増して、チュベローズやイランイラン、ローズなど華やかさが増していく。特に女性らしいフローラルブーケと、ウォータリーグリーンが交錯するあたりはとてもみずみずしく、気持ちが晴れ晴れする。

時間が経つと、このウォータリーがモタッとしてきて、フローラルのツンツンとした香りが少しずつ鼻に付いてくる。

オリジナルは、モタっとしたグリーン強めのトップから、みずみずしいフローラルな甘さを加えたようなホワイトフローラルの香り。アクセントになっている重厚なバイオレットと、明るいフローラルフルーティな香りが、まさにボトルのような輝きを放つ。

 

ベースはウッディ・ムスキー。

シャープなサンダルウッドが背骨となり、チュベローズ、ジャスミン、ローズのフローラル感が持続じていく。と同時に、ウォータリーな香りもムスクと合わさってフワッと香り、ミドルの面影をそのまま残したままドライダウンしていく。

オリジナルは、バイオレットとプラムのようなスッキリとした残香に、ドライなウッディ、ムスクがミドルの明るい甘さを持続させていく。

 

明るくみずみずしいフローラルブーケが2時間くらい、そこからウッディを加えたことではっきりしたフローラル感を感じながら4~5時間持続する。

 

コモロ諸島産イランイラン、トルコ及びブルガリア産ダマスクローズ、マツリカジャスミンとグラースジャスミンなどのフローラルブーケをサンダルウッドと合わせた官能的な香りに、ウォータリーなフルーティムスキーでみずみずしい仕上げたフローラルフルーティの香り。フローラルや華やかで、春や秋に似合う香りだと思う。

 

オリジナルはフローラルが時間が経つにつれて柔らかくなるのに対して、現行品はみずみずしい香りから徐々に強いフローラル感が増してくる印象。サンダルウッドやメロンのようなウォータリー感がフローラルの強さを助長していくため、そこが気にならなければ、現行品の方が気にいるのではと感じる。

 

ジャドールは時代の変化とともに、香りも変化し、フランカーも増えていっている。

一方で、N°5は不変を貫くことで、永遠に近づこうとはしている。

どちらの香りも、そのブランドのアイコニックであることは間違いない。