CHANEL
BLEU DE CHANEL PARFUM(2018年)
調香師:オリビエ・ポルジュ
おすすめ度:★★★☆☆
画像出典:公式HP
シャネルのメンズフレグランス唯一のパルファム。
このブルードゥシャネルは30代の頃、それこそ浴びるように使っていた思い出のフレグランス。ブルードゥからパルファムが発売されると知ったとき、当時あまり出番がなくなっていたブルードゥをもう一度使いたいと思った。
ブルードゥシャネルは、シャネルのメンズではもっとも新しいラインで、2010年にオードゥトワレット、2015年にオードゥパルファムが発売されている。クラシカルなフゼアとは一線を画す、都会的な雰囲気の作品だ。
トップはシトラス・スパイシー。
マグネット式のキャップを外し、ワンプッシュ。
レモン果皮の強い苦み、みずみずしいベルガモットと、ジンシャーやクミンような強いスパイスを合わせた、トニックの香りが鼻を刺すものの、あまり拡散しない。
ピラミッドを見ても、ジンジャーやクミンの記載はない。このジンジャーを思わせるシトロネラや果皮の苦みこそがレモンゼストの香りだと感じている。
ミドルはアロマティック・ウッディ。
先端のレモンゼストの苦みや辛みを、ラベンダーとゼラニウムのアロマティックフゼアの厚みが包んでいく。オードトワレのようなキレ味は相当抑えられ、なめらかなトーン。
そこにパイナップルの酸味や甘さや、ヨモギやミントをすり潰したようなグリーンの若々しさが、アロマティックフゼアと重なることで、少しモダンな印象を醸し出している。
しばらくすると奥から、ドライアンバーのツーンした辛さや、セダーウッドの乾いたウッディ感も香ってくる。
実際に肌に乗せると、このスパイシーなシトラスを効かせたアロマティックウッディが3時間以上続く。トワレだとかなり香りがヘタっている時間帯だ。
ベースはウッディ・アンバー。
ピリッとしたアロマティックやフルーティグリーンを残しながら、サンダルウッドのクリーミーなウッディを軸に、セダーウッドの深み、トンカビーンの甘さ、ドライアンバーの辛みがアクセントになっている。ニューカレドニア産のサンダルウッドが、それらのアクセントとうまく調和している。
そこから、サンダルウッドの暗いウッディに、アンブロクサンやムスクが柔らかさを加え、さらにラブダナムのような甘さをほんのり添えながらドライダウンしていく。8時間以上持続する。
パルファムだけあり、トワレのように拡散せずに、シトラスの苦みの効いたアロマティックウッディの香りがじっくり香る。ミドルのグリーンの効いたアロマティックは清潔で、ベースのウッディは静かで落ち着きがある。
それにしても、本当に拡散しない。内股に乗せると、香りが鼻まで届かないレベルで、ウエスト周りに1~2プッシュがちょうど良いのではと思う。
トワレのフレッシュ感、EDPの上品な色気とはまた違う、落ち着きのあるアロマティックウッディの香り。おそらくこのパルファムがもっとも使いやすいのかもしれない。
改めてかいでみると、とても優秀なパルファムだと思う。爽やかさ、クラシカル感、若々しさ、深みなどのバランスが良い。30代以上であれば季節を問わずに使えるような優等生な香り。
逆にいえば、このバランスの良さがこのパルファムの弱点でもある。おそらく、あえてパルファムを選ぶ人は、トワレにないような濃さであったり、強いキャラクターを求めるのではないだろうか。
私もこのパルファムの香りは優れていると思いつつ、なかなか手を伸ばさない。
同じシャネルのシトラスアロマティックウッディであれば、迷わずボーイを選んでしまう。さすがにオール3の香りは、もう卒業したよ。