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ルイ・ヴィトン:メテオール

LOUIS  VUITTON

MÉTÉORE(2020年)

調香師:ジャック・キャヴァリエ

おすすめ度:★★★☆☆

 

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画像出典:公式HP

 

メテオールはルイ・ヴィトンのメンズフレグランスコレクションの6作目にあたる。

このメテオールを最初かいだ時、がっかりしたことを憶えている。なぜなら、これによく似た香りを多数知っている。それこそ20代の頃、これらの香りとともに青春を謳歌したのだから。

 

ヴィトンのフレグランスは、最高級の素材と、最高峰の調香師により、従来のファッションフレグランスを凌駕している。2016年に一挙7作発売されたレディースほどでないにせよ、2018年に発売されたメンズコレクション5作も、素材の確かさと、定番の枠を超えたキャラクターが備わっていた。

メテオールに対しても過剰に期待していたのかもしれない。結果、第一印象は90年代のファッションフレグランスを現代にマイナーチェンジさせたような、目新しさのない香りに映ってしまったのは否めない。

 
トップはシトラス・スパイシー。
スプレーすると、とてもみずみずしいマンダリンや、アロマティックなベルガモットに、ブラックペッパーやピンクペッパーのスパイシーが、メンズらしい力強いを添える。そこにメタリックなナツメグがシトラスミックスに硬さを加えている。

ミドルはスパイシー・アロマティック。
マンダリンのジューシーな甘さを香らせながら、さらにピリッと花椒やカルダモンが若々しい男らしさが増していく。グリーンなカルダモンやナツメグは、ややマリン寄りなアロマティックウッディと重なることで重厚感を増していく。ここに明るいネロリの光を射しこませることで、ド定番のアロマティックウッディが、一気に洗練されたおしゃれな印象に変わっている。ジャック・キャヴァリエのセンスが映える、必殺の一手。
 
ベースはアロマティック・ウッディ。
明るいシトラスネロリと、メタリックグリーン要素の強いアロマティックを残したまま、こちらもアロマティックなベチバーが力強さを演出していく。最後はベチバーにアンバーの深みを加えながら、ドライダウンしていく。
 
スパイシーを効かせながら、シトラスネロリの明るさに包まれたアロマティックが2時間くらい、そこから男性らしいウッディの厚みを加える流れで、全体では4~5時間持続する。
 
爽やかなシトラスアロマティックの香りで、春や夏を中心に秋口まで似合う香りだと思う。
 
メテオールをじっくりとかいでみると、あの懐かしい香りと異なり、素材の輝きや、おしゃれな印象が際立っている。特にイタリア産マンダリン、チュニジア産ネロリをはじめ、ブラックペッパー、ピンクペッパー、花椒の3種類のペッパー、さらにはジャワ産ベチバーなど、ヴィトンならでは素材の確かさが感じられる。若かりし頃から、着るもの付けるものがバージョンアップしていくような、より洗練された風格が備わっている。
 
でも、この香りを身に付け、同世代以上のあまりフレグランスに詳しくない男性と会うと、「○○の香り?」とか「△△の香り?」などあの頃の流行っていたフレグランスの名前が上り、かなりテンションが下がる。
 
そうなのだ。いくらバージョンアップしているとしても、マイナーチェンジの枠に収まるため、我々の世代からすると、ノスタルジー溢れる香りに見えてしまう。
 
ところが、10歳以上若い女性からは、このメテオールは別の姿に見えるらしい。男らしい、上品、魅力的など、とにかく評判が良い。
もしかすると、私より一回り若い世代からみると、この爽やかでフレッシュなアロマティックウッディの香りは、一周回って新鮮に映るのかもしれない。さらにジャック・キャヴァリエが現代的にうまくリファンしたようにも思えてくる。
 
メテオールとは「流星」の意で、パワーと光を想わせ、磁力のように人を引き付ける香りとしている。確かに、この手の香りは女性を惹き付けるのかもしれない。それでもあの頃と比べると、フレグランスを付ける動機も変わってきた。あの頃はモテたい一心で香りを選んでいた。いま、あの頃欲しかった女性を惹き付ける香りが目の前にある。
それが分かっているからこそ、メテオールの強い磁力と反発してしまい、なかなか使うことができない香りになっている。
46歳、秋。