GUERLAIN
L'HOMME IDEAL EAU DE TOILLET(2015年)
調香師:ティエリー・ワッサー
おすすめ度:★★★☆☆
画像出典:公式HP
ロムイデアルは、
理想(IDÉAL) の男性(L'HOMME)
を引き出すために、2015年に発表されたメンズコレクションで、現在までに7作品が登場している。
最初に発表されたこのオーデトワレは、理想の男性に求められる3つの条件、知的でハンサム、力強さを表現した、男性のポテンシャルを引き出す香りとしている。はじめてオードトワレをかいだとき、それまであまり手を取っていなかった甘いアロマティック感が、とても格好良く映った。私のなかでは酒っぽい香りの入門編となった作品であり、一時期、よく使用していた思い出がある。
トップはシトラス・アロマティック。
スプレーすると、明るいオレンジやフレッシュなベルガモットに、ピリッとローズマリーのアクセントを加えた香り。それらをアーモンドのアロマティックな甘さが覆いかぶさることで、洋酒を思わせるようなオープニング。
ミドルはアロマティック・バルサミック。
鼻先はシトラスネロリやローズマリーを残しながら、アロマティックなアーモンドにトンカビーンのまろやかな甘さを加えた香り。このアーモンドの硬質なみずみずしさと、トンカビーンの鼻に付く甘さがアマレットを彷彿させ、どこか大人びたセクシーな佇まいを演出する。
ベースはウッディ・レザリー。
アーモンドのアロマティック感を残しながら、トンカビーンの白い甘さが増していく。バニラとは違う、この潤いのある甘さに色気を感じる。
奥からアロマティックなベチバーやレザー、さらにはドライアンバーの男らしい深みが加わるものの、それほどベースは厚みがなく、ミドルの印象を覆わずに引き立たせることで、そのままドライダウンしていく。
持続時間は4時間くらいで、前半のフレッシュなアロマティックな甘さから、そのアロマティックを残しながら、ウッディの深みが強くなっている。
甘さのあるアロマティックな香りで、秋冬の夕方以降に似合う香り。甘さもふわっと立ち、色気も感じられ、ウッディもそれほど強くない、バランスの良い香りで、特に30代に向いているのではと思う。
個人的にはライバルのシャネルのブルードゥシャネルや、ディオールのソヴァージュと比較しても、ロムイデアルのアロマティックなアーモンドは、とても洗練されたお洒落さを感じる。シトラスコロンに、このアロマティックなクセを付けたロムイデアル コローニュ(廃盤)を偏愛しているほど。
このオーデトワレの後、アーモンドの特徴を残したまま、オーデパルファンやインセンス、エクストレムとどんどん深みを増したフランカーが出されたが、私の場合はそちらにではなく、メンズエクスクルーシブ(廃盤)やラールエラマティエールの道に進んだ。それでも時折、ロムイデアルをかぐと、若々しさや男らしい色気を備えた素敵な香りだと思う。