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キリアン:ウーマン イン ゴールド

KILIAN

WOMAN IN GOLD(2017年)

調香師:カリス・ベッカー

おすすめ度:★★★☆☆

 

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画像:公式HPより

 

ウーマンインゴールドは、1907年にクリムトが描いた『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I』にインスパイアされた香りとしている。
 
 
繊細なゴールド、複雑な光と影、そんな絵画を称える、芳醇で官能的な質感が織りなす華やかさ。
果たしてキリアンは、この絵画をどのような香りに落とし込んだのだろうか。
 
トップはシトラス・アルデヒド。
スプレーすると一瞬、酒っぽいアロマティック感か漂う。でも、すぐにみずみずしいベルガモットや、ジューシーなマンダリンの美しいシトラスミックスを、アルデヒドが陽射しのように明るく、そして清潔にまとめてたようなオープニング。
 
ミドルはフローラル・バニラ。
明るいシトラスミックスを、アニスの硬質なアロマティック感がみずみずしさを与え、同時に軽いバニラがふんわりと甘さを添えていく。スプレーした瞬間のあの酒っぽさはアニスだった。
そんな爽やかな印象をバニラを香らせつつ、ゼラニウムでアロマティック感を補強しながら、ローズとフリージアを組み合わせた、とても若々しいフローラルが存在感を高めていく。この可愛らしさが弾けるようなフローラルバニラの輝くような光は、いつかいでもポジティブな気持ちで満たしてくれる。
 
ベースはバニラ・ウッディ。
フレッシュなフローラルバニラのバニラの部分がどんどん白く滑らかになっていく。奥からアキガラウッド(パチョリから抽出。パチョリをもっとドライにして、グリーンで硬くした香り)のウッディ感が、バニラをパウダリーな印象に仕立てることで、軽やかなバニラと、硬いパウダリーなバニラとの2層構造に感じられる。
やがて軽やかなバニラが減退してくると、パウダリーな硬いバニラをトンカビーンやパチョリが丸く整えながら、徐々にドライダウンしていく。
 
明るさ、みずみずしさが映える軽やかなバニラが2時間くらい、そこから重厚なバニラウッディが強さを増しながら、全体では4~5時間持続する。ベースが淡く、気がつくとふわっと香りが消えてしまう。
 
晴れた日の秋冬に似合う香り。特に晴れた日に使うと、キラキラとしたバニラが、それこそ輝いているいるように感じる。
 
全体を見渡すと、輝くようなバニラと、バニラウッディの二重奏の香り。
特に前半部分の輝くバニラは、シトラスの爽やかさ、アロマティックのみずみずしさ、アルデヒドのキラキラした輝き、フローラルの明るさと蕾のような硬さがに包まれた、とても多彩なバニラの表情。素晴らしいの一言で、ウーマンインゴールドという名にふさわしい。
一方、バニラウッディは、ウッディグリーンの硬さが、パウダリーの粒子を粗くしてしまい、少し鼻に付く。前半と比較すると、完成度が落ちているようにも思える。
 
繊細なゴールド、複雑な光と影。複雑な光に対して、暗さは単調に見える。ウーマンインゴールドは香りと、きらびやかなケースが対になることで絵画の世界観を表現したしたような、キリアンの作風が垣間見れる作品。
 
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