CHANEL
LES EXCLUSIFS DE CHANEL BOIS DES ILES EAU DE PARFUM(2016年)
調香師:ジャック・ポルジュ
おすすめ度:★★★★★
画像:公式HPより
ボワデジルのオリジナルは、初代調香師エルネスト・ボーによって1926年に登場した。
そして2007年、シャネルのエクスクルーシブコレクションのレ ゼクスクルジフ ドゥ シャネルが発表された時、3代目調香師のジャック・ポルジュによりオードトワレとして復刻した。現在は2016年に発表されたオードゥパルファムが販売されている。
ボワデジルは「島の木々」の意味で、史上初めて発表された女性向けのウッディフレグランスとされる。
狂乱の1920年代の夜。パリの人々は、アフリカン ダンスホールで踊りあかし、響き渡るジャズのビートに酔いしれていました。街中にあふれるエキゾチックなエネルギーの波を描き出すように、マドモアゼル シャネルはセンシュアルでスパイシーなフレグランスを世に送り出しました。甘美なイランイランとセンシュアルなサンダルウッドの香りが、遠く離れた島々への憧憬の旅へと誘います(公式HPより)
オリジナルはかいだことがないため、どういう香りなのかは知らない。でも現代のボワデジルの香りに触れてみても、当時の島々への憧れの強さ、素材の確かさ、キャラクターなど、シャネルのフレグランスの歴史の深みが味わうことができる珠玉の作品だと思う。
トップはシトラス。
スプレーするとすっきりしたシトラスが香るも束の間、アルデヒドを含んだ濃厚なイランイランの甘くクラシカルな香りが、シトラスを圧倒するように香り立ってくる。
ミドルはフローラル・ウッディ。
上の方はマンダリンのみずみずしい甘さ、中ほどから蜜感の強いイランイランの香り。このコモロ産のイランイランの存在感は際立っている。黄色い色彩が伝わってくるような鮮やかさ、そして女性らしい上品なパウダリー感はとてもクラシカルで、どこか物憂げに感じる。さらに随所に感じられるジャスミンが、フローラルの官能的な側面を引き出すスパイスとなっているようにも映る。
奥からはややスモーキーなサンダルウッドのウッディ感が漂ってくる。
ベースはウッディ・バルサミック。
イランイランの余韻と入れ替わるように、スモーキーかつミルキーなコクの強いサンダルウッドがはっきりしてくる。そこにポポナックスのバルサミックな甘さやスパイシーな酸味が、サンダルウッドをオレンジ色が染めていく。
次第にバニラやトンかビーンの柔らかな甘さを染めることで、ウッディオリエンタルの香りとなり、そのままドライダウンしていく。
秋から初冬にかけて似合う香り。最初の2時間は爽やかなイランイランが黄色く輝き、そこからウッディの深みやバルサミックな甘さが夕焼けのようにオレンジ色に染めながら、5~6時間持続する。真冬だと、色彩が鮮やかすぎるかもしれない。
同じイランイランでも、N°5とボワデジルで見え方が異なる。都会的ではなくもっとナチュラルで、花の色がはっきり伝わってくる。さらにバルサミックの甘さや酸味で明るく仕上げられている。
そこに主役のサンダルウッドがスモーキー、クリーミーと表情を変えながら、女性らしいフローラルに、遠い大陸をイメージするようなミステリアスな深みを与えていく。
ボワデジルのどこかクラシカルで、輝くようなサンダルウッドの香りは本当に素晴らしい。と同時にいつもこう思う。あのマイソール産のサンダルウッドが使われていたというオリジナルのボワデジル。それをかいでみたいと。
1920年代、パリの人々が遠く離れた島々への憧れていた、それ以上に。