フレグランスアッセンブル

フレグランスの香りの変化を解析するサイト

フレデリック・マル:オー ドゥ マグノリア

FREDERIC MALLE

EAU DE MAGNOLIA(2014年)

調香師:カルロス・ベナイム

おすすめ度:★★★★☆

 

f:id:captain_dora:20211117092603j:plain
f:id:captain_dora:20211117092610j:plain

画像:公式HPより

 

近年、人気のあるマグノリア(木蓮)の香り。
マグノリアはシトラス調の爽やかさや、みずみずしい透明感を伴っているため、男性でも使いやすいフローラルの一つだ。華やかさを醸し出すような他のホワイトフローラルとは異なり、みずみずしくも淡い香りなため、ジャスミンなどでフローラル感を補強した香りが多い。
一方で、このオードゥマグノリアは完全にマグノリアにスポットライトを当てた香り。フレッシュなシトラスや、アーシーなウッディで前後を固めることで、マグノリアの美点が引き立つように工夫されている。またムスクで香水らしく仕上げていないため、終始ナチュラルな雰囲気を感じることができる、とても使いやすい香りだと思う。
 
トップはシトラス。
スプレーすると、目が覚めるようなフレッシュなレモンとグレープフルーツが鼻を刺してくる。少し遅れて、みずみずしくも、グリーンやビターな果皮感の強いベルガモットが香り立つ。
 
ミドルはフローラル・グリーン。
ベルガモットのグリーンを中心としたシトラスミックスを立たせながら、マグノリアの凛としたフローラルが強くなっていく。シトラスとマグノリアが見事に調和した香り。
ジャスミンに似た花の甘さやコクを、朝露のような水気、シトラスのような爽やかさで包んだようなマグノリアの表情。奥から、ベチバーのアロマティック感や、パチョリのアーシー感が、マグノリアの白さをより際立てていく。
 
ベースはウッディ・アーシー。
少しずつ乾いていくマグノリアと交錯するように、ツリーモスや酸味や、ピーチアプリコットの甘さが、マグノリアの生気を戻していくことで、そのまま安定していく。
やがてマグノリアのグリーンアーシーな余韻を、ドライなセダーウッドや、アンバーがクラシカルなシプレのようにまとめながらドライダウンしていく。
 

フレデリックマルでは珍しいオードトワレ。それでも、フレッシュビターなシトラスマグノリアが1時間くらい、そこからウッディシプレを帯びたマグノリアは4~5時間持続する。

 

マグノリアが咲き誇る3~5月を中心に、晴れた日の日中に使いたい香り。夏の日の朝や、陽射しが温かい初秋でも似合うと思う。

 

調香したカルロス・ベナイムは「開発するのが面白かったのは花の透明度(公式HP)」と述べている。その透明感を出すために、まるで柑橘類が白い花を咲かせたような香りにしている。この前半のビターなシトラス感は、クルジャンのアクアユニヴェルサリスを思い出させる。

でも、「後ろに暖かくセクシーな感じを与える」に、オーソバージュのようなウッディシプレを合わせることで、ありそうでないナチュラルなマグノリア、さらには、タイムレスな魅力に溢れた「1960年代のスポーティーシック」の香りに仕上げられている。

マグノリアという新しいフローラルの扉を、親しみのあるウッディシプレで開く。そこにはトレンドを無視した、マルらしい生粋のニッチスピリットを感じる。

そして、こういうマルの世界観や、オードゥマグノリアの香りが好き。