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フレデリック・マル:リップスティック ローズ

FREDERIC MALLE

LIPSTICK ROSE(2000年)

調香師:ラルフ・ジュヴィーガー

おすすめ度:★★★☆☆

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リップスティックローズは調香師のラルフ・シュヴィーガーが、母のキスにインスパイアされて創作した香り。
子供の頃の、母とのキスの感触と匂いは、退行的でありつつも現代的で、ハリウッドの華やかさを感じさせるような、女性の全てが凝縮された記憶なのかもしれない。そう感じされる香り。
 
トップはシトラス・パウダリー。
スプレーすると爽やかなグレープフルーツと、バイオレットの硬いパウダリー感。そのパウダリーの隙間から香り出す甘酸っぱいラズベリーが、一気に香調をピンク色に染め上げていく。キャンディーのように美味しそうなラズベリーが、なるほどピンク色のリップスティックのようにみずみずしく感じる。
 
ミドルはフローラル・パウダリー。
そこから勢いよくローズが花を開かせていく。華やかなローズがどんどん強くなっていくと同時に、バイオレットも香り立つため、バイオレットにコーティングされたようなローズのイメージ。ややバイオレットを効かせすぎのためか、少しねっとりした生臭さが鼻に付く。
そんなバイオレットローズを、アイリスの柔らかなパウダリー感が丸くまとめていく。
 
ベースはムスキー・アンバー。
バイオレットに包まれたローズの香りは、次第にパウダリーなムスクに包まれる。うっすらとローズの甘さを香らせながら、バニラの淡い甘さ、やわらかなアンバーを加え、ドライダウンしていく。
 
 
スプレーした瞬間は、ジューシーなラズベリーのリップスティックを思わせる香り。そこからファンデーションを思わせるパウダリーにローズを含ませた香りが5~6時間持続する。
 
終始パウダリーを効かせた香りで、秋から冬に似合う香り。トップは明るく爽やか、でも時間が経ちにつれて華やかなローズがパウダリーに押されるため、春だと少し暗く感じるのではないだろうか。
 
 
リップスティックローズは、フレデリック・マルがブランドを創設するにあたり、若い調香師のために開催したコンテストから選んだ香り。結果、リップスティックローズはエディションドゥパルファムに加わることになった。
 
改めて香りをかいでみると、一度触れると忘れられないような印象を残す香り。
一方でバイオレットの苦みやベリーの甘さが鼻に残るなど、香りの粗さも感じ取れる。何よりもリップスティックの香りはトップのみで、その後は化粧品が並べられた鏡台のイメージに近いと思う。
おそらくマルは香りの完成度以上に、ラルフ・シュヴィーガーが提示してきた、母のキスにインスパイアされた香りというコンセプトに惹かれたのではないだろうか。
母のキスの甘さ、うっすらと香るファンデーションの香り、優雅で魅力的な女性の姿、そしていつでも包み込んでくれるような温もりと優しさ。女性の全てを体現した香り。
 
公式HPではラルフ・ジュヴィーガーについてこう述べられている。
彼の香水は大脳的で直感的だと。
なるほど。