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キリアン:ゴールド ナイト

KILIAN

GOLD KNIGT(2017年)

調香師:パスカル・ガウリン

おすすめ度:★★★★☆

 

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画像:公式HPより

 

ゴールド ナイトは、1902年に描かれたクリムトの『ベートーヴェン・フリーズ』のゴールドの甲冑を纏った騎士にインスピレーションを受けた香り。
同じくクリムトの『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I』にインスピレーションを受けたウーマン イン ゴールドと同時発売された。
 
 
テーマは洗練とエロティシズムの融合、研ぎ澄まされた深い官能。そしてダークとゴールドのコントラストを表現した香り。
 
トップはスパイシー・シトラス。
スプレーすると、アロマティック寄りのベルガモットと、みずみずしくも硬いアニスの香り。奥からハニーのフワッと立つ甘さと重なることで、アニスの硬さや辛さが引き立つようなオープニング。
 
ミドルはハニー・スパイシー。
ハニーがどんどん甘く、そして強くなってくる。そのハニーとアニスが調和することで、酒のようにツーンと硬質なハニーが広がっていく。
同時に、奥からはハニーのコク甘さがパチョリと絡み合うことで、ビターで焦げ甘く、力強さが漂う。このビター感が、タバコやチョコレートに似た芳醇な深みのようにも映り、とてもセクシーな香り。
 
ベースはパチョリ・ハニー。
鼻先はアニスに包まれたクセのあるハニー、そして主旋律は暗いパチョリとザラっととしたハニーのこちらもクセのある甘さ。パチョリがダークな印象を強くしていくも、バニラが白く色抜きするようにドライダウンしていく。
 
濃厚なハニーの甘さと、暗いパチョリがこれでもかと主張する香りで、冬を中心に、秋や春の寒い日の夜に似合う香り。
大きく香りが変化することなく、ゴールド色のハニーが8時間近く持続する。
 
ゴールドナイトはその名のとおり、ゴールドをテーマにした香りで、構成もアニス→ハニー→パチョリとシンプルに進み、まったく奇を衒っていない。店頭で初めてこの香りを試した時、そのシンプルな香りの流れに拍子抜けしたことを思い出す。
ところが、このゴールドナイトという名前にふさわしい香りが、鼻に強い残像を残していく。つまりクセになる香りの部類だと思う。
 
ハニーの香りからイメージされる色は?と問われると、ほとんどの人がゴールドと答えるのではないだろうか。このゴールドナイトも一言でいえばハニーの香りだ。
キリアンは誰もがゴールド色として想起するハニーを、まるでゴールドの鎧のようなハニーとして仕上げている。通常アクセント程度で使用するアニスで、ハニーのゴールド部分を硬く光輝かせ、ダークなパチョリでハニーの陰影を持たせることで、ゴールドを鎧のように分厚くしている。
 
絵のことは分からないが、ベートーヴェン・フリーズの絵を見た時、ものすごい嫌悪感と、強烈なインパクトを感じた。ゴールドナイトも、アニスやパチョリが荒削りで、相当鼻に引っ掛かってくる。肌に馴染むというよりも香りを着たイメージが強く、だからこそ、ゴールドの鎧に包まれていくような特別感にも満たされる。
このゴールドナイトはベートーヴェン・フリーズなんかではなく、聖闘士星矢の黄金聖衣(ゴールドクロス)に思えてくる。
私の場合は、乙女座のシャカの香りになるのかな。