ATELIER COLOGNE
OOLONG INFINE(2011年)
調香師:ジェローム・エピネット
おすすめ度:★★★☆☆
画像:公式HP
残念ながら日本から撤退してしまったアトリエ・コロン。私にとってこのウーロンアンフィニは初めて購入したアトリエコロンであり、もっとも汎用性が高いため、よく手を伸ばす香りでもある。
改めて公式HPを見てみると、カテゴリーは「クリーンムスク」、寒い満月の夜、窓の外には雪、パチパチと音を立てる暖炉の前で、くつろぎながらティーとベルガモットの心地よい香りに包まれている......とある。
トップはシトラス。
スプレーすると、みずみずしいベルガモットの甘さがティーノートを予感させ、シトラス寄りの明るいネロリが広がってくる。
ミドルはティー・フローラル。
鼻先の明るいシトラスネロリに包まれた、爽やかなティーが香り立つ。スモーキーで香ばしいティーではなく、みずみずしく硬いティーがとても心地よい。じっくり嗅ぎこんでみると、みずみずしい部分がジャスミンサンバックに、硬い部分がガイアックウッドに支えられていると分かる。そこにネロリが明るさを添えている。
少しずつネロリが減退することで、ティーが静かになっていく。さらにジャスミンの酸味が前に立つことで、何となくヨーグルトを感じるような発酵したティーの香りへ。
ベースはウッディ・ムスキー。
フレッシュな酸味を漂わせたティーと、仄かにガイアックのウッディ甘さと、アロマティックなベチバーの香り。そのガイアックとベチバーが重なるいくことで、レザーのようなスモーキー感も感じ取れる。
その酸味を残したスモーキーなティーを軽めのムスクが包み込むことで、暗く沈むことなくそのままドライダウンしていく。
軽やかで硬いティーが1時間くらいで、そこから少しずつウッディを含んだ爽やかなティーが4時間くらい持続する。香りに肌に乗せてみると思ったよりも香りが拡散していかないため、手首に使うのがちょうどよいのではと感じる。
夏場であれば熱気を沈めるような涼し気なティーとして、冬場であれば仄かな温もりを感じたい時など、あまり季節を問わない香り。それでもみずみずしい硬さやフレッシュな酸味は、春にもっとも似合うのではと思う。加えて、強く主張しない香り立ちや、嫌われない清潔感や、ほどほどのナチュラル感など、かなり使いやすい。
そしてそれほどティー(緑茶、紅茶、ウーロン茶)は飲まないにも関わらず、ティーの香りはそれなりに持っている。ティーの香りは群雄割拠だ。
それでも、このブルガリプールオムに似ていると言われるウーロンアンフィニを使い続けるのはなぜだろうか。単純に使いやすいとか清潔だけではないような気がする。現に今ではブルガリプールオムは使わない。
改めて、ウーロンアンフィニをかいでみると、ベルガモットの強いアールグレイの香り。少し硬さのある、みずみずしい青さ。でもよくあるティーの香り。ネロリが明るい。奥からジャスミンの強い酸味。ガイアックの木々の甘さと、ベチバーの硬さやスモーキー感。
ウッディが香ばしい甘さや硬さが、ティーの爽やかな酸味をパワーアップさせている。ベルガモットで嗜好を整えた、ウーロン茶の硬さと酸味のコントラストが好みなのかもしれない。