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サマーフレグランス2022

 

 

毎年、夏に使うフレグランスの打順を組んで一人楽しんでいる。そんな自分本位のサマーフレグランスのオーダーを2021年、2022年と書き続けてきた。

今年は書き続けることはもちろん、久しぶりに自粛ムードが緩和されてきているため、開放的な想いを込めて、よりバージョンアップして書くことにした。

 

サマーフレグランス2021はこちら↓

 

サマーフレグランス2020はこちら↓


夏は春秋冬と異なり、ただただ暑い日が延々と続く。それでも夏の1日は長い。朝、日中、夕方、夜と時間帯によって、使いたいフレグランスも変わってくる。

そこで今年の打順は時間帯ごとに区切って、オーダーを組むことにした。

 

朝~午前中の香り

夏の朝の香りでもっとも大切なのは、スプレーした瞬間の香りが気持ち良いこと。

そして、暑さからくる気だるさを吹き飛ばしてくれるような、爽やかでポジティブな香りが望ましい。

さらに、その気持ち良い香りが持続してくれれば、もう言うことなし!と感じている。

 

オン ザ ビーチ(ルイ・ヴィトン)

1番オンザビーチ(2年連続スタメン)。

オンザビーチは朝の香りで大切な条件をすべてを満たしている。

スプレーした瞬間のユズのほろ苦さは気持ち良いだけでなく、どこか癒される。そういうハーバルグリーンに包まれたネロリが太陽のように明るく、でもどこか涼しげで、高温多湿な日本の夏の空気に見事に調和する。そしてネロリを立たせながら、砂のような軽いウッディがとても静かで、また癒される。

私にとってオンザビーチはシトラスコロン系の完成形であり、この香りに出会って以来、同系統の香りを1本も買う気が起こらず、それが今後も続いていくのではと思っている。

逆に、手持ちのシトラスコロン系すべてを蹴散らすほど愛してしまい、少し困っているほど。

 

プティ マタン(メゾン フランシス・クルジャン)

2番プティマタン(3年連続スタメン)。

パリの朝の空気をイメージしたプティマタンは、夏の平日の朝に欠かせない存在となっている。

スプレーした瞬間のシトラスの気持ち良さ、パリの石畳を思わせるような凛とした冷たさを感じさせるハーバルノート、透明感溢れるフローラルムスク。

朝、この香りに包まれると気持ちが引き締まる。そして、時折身体からフワッと、どこまでも透明な香りを感じた瞬間、心がとても落ち着いていく夏の必需品。

 

パンプルリューヌ(ゲラン)

3番パンプルリューヌ(初スタメン)。

夏に似合う香りが多いアクアアレゴリア。猛暑が予想される今年の夏はパンプルリューヌを使い込もうと思っている。

スプレーした瞬間のグレープフルーツの苦み、フレッシュな酸味、そしてジューシーなシトラス甘さ。そのすべてが気持ち良い。

さらにカシスの冷たさやペチグレンの鋭いグリーンが、夏のモワっとした空気を突き破ってくれる。

グレープフルーツの果実のみずみずしさと果皮の苦さを楽しみながら、ムスクなどでフレグランスらしくまとめることなく、最初から最後まで素材そのものを堪能できる、最初期のアクアアレゴリアらしい香り。

 

 

午後~夕方の香り

夏の午後の香りで大切にしたいのは柔軟性。

午後はもっとも気温が高く、まだ爽やかな香りを楽しみたい。でも少しずつ身体も気持ちも気だるくなってくるため、のんびりと癒される香りも包まれたくなる。そして、夕方以降は夜にも似合うような香りを選びたくもなってくる。

 

イマジナシオン(ルイ・ヴィトン)

4番イマジナシオン(2年連続スタメン)。

イマジナシオンは優れた香りだ。季節や性別、使用シーンを選ぶことなく、とにかく使いやすい。発売されてわずか1年で、生活に欠かせない香りになっている。まるでフレグランス界の二刀流のようだ。

それでも、イマジナシオンがもっとも似合うのは夏の午後ではと思っている。爽やかなシトラスの気持ち良さ。海風に運ばれてくる磯が汗ばむ素肌と調和する。そして柔らかいティーの甘さと香ばしさに心が安らぐ。

イマジナシオンの淡いブルーの香りは、夏の熱を帯びた肌を、やさしく冷ましていくように寄り添ってくれる。

午後の時間も楽しもう。イマジナシオンの優しい香りとともに。

 

ウッドセージシーソルト(ジョー・マローン)

5番ウッドセージ&シーソルト(3年連続スタメン)。

私にとってウッドセージ&シーソルトは、のんびりと過ごす夏の休日の午後の香り。マイルドなマリンノートと、ほんのりと刺激するシーソルトの香りがとても優しい。

夏の1日は長い。17時でも外は明るい。冬の14時のイメージだ。

平日、早く仕事を終え、外に出ると空はまだ明るい。でも今日はどこにも寄らずに帰宅するだけだ。そんな時にこのウッドセージ&シーソルトに包まれたくなる。暑さや仕事の疲れを癒しながら、夜の時間をさながら休日のようにのんびりした時間に演出してくれる。

夏の夜は長い。そんな狭間の時間も有意義に使いたいと思う。

 

グッドガールゴーンバッド(キリアン)

6番グッドガール ゴーンバッド(初スタメン、以下GGGB)。

夏の特に夕方、フルーティの甘さが恋しくなる。昨年の夏、このGGGBオーフレッシュを使用していたところ、ムスクの重さが少し日焼け止めのように感じてしまい、試しにオリジナルを使ってみると、これがとても良かった。

GGGBはその名のとおり、グッドガールとゴーンバッドの対極的な香りで構成されている。前者はピーチローズ、アプリコット、ココナッツなどの夏らしいフルーティな香り。一方後者はチュベローズ、ジャスミン、ナルシス、アンバーなど華やかで官能的な香り。この対比が日中と夜にそのまま当てはまり、夕方から夜の時間の経過のように感じられる。

夕方に使うと、フローラルが前に出てくる頃にはすっかり夜の香りになっている。でも完全に夜の香りかというと、夏の陽射しの名残もしっかり残されている。気持ちはいきなり夜モードに切り替わらない。そんな心の葛藤が描かれているような香り。

 

 

夕方~夜の香り

コロナの影響で、夏はとにかく夜が楽しいという事実を忘れてしまっていた。

ここ2年、わざわざフレグランスを着替えて、夜の街に繰り出す機会も無くなっていた。

今年の夏、そういう機会があるかは分からない。でもオーダーだけでも組んでみようと。

 

シティオブスターズ(ルイ・ヴィトン)

7番シティ オブ スターズ(初スタメン)。

夜のロサンゼルス。星を散りばめたように明るい街の大通りから天空に瞬く星座までをもモチーフにした香りは、いよいよその真価が問われる。

星のようにカラフルなシトラス、リゾート地を思わせる明るいフローラルの甘さ、ココナッツを含んだロマンティックなムスク。そのパーツはどれも夏の夜を煌びやかに演出してくれるに違いない。

シティオブスターズにはどこか懐かしいラグジュアリーな雰囲気がある。この香りが似合う、まるでラ・ラ・ランドのような運命的な出会いはあるのだろうか。

 

ミュージック フォー ア ホワイル(フレデリック・マル)

8番ミュージック フォー ア ホワイル(初スタメン)。

今年の夏の夜、もっとも使いたい香り。香りを音楽になぞらえたこの香りはとにかく楽しい。深く考えずにまず着てみる。

すると、様々な音色が交錯し、鼻を刺激してくる。それは嗅覚を喜ばせるために創られた香りだから。

ワクワクするような明るさとスモーキーな深みが、夏の夜にスッと溶け込む。

例えば夏の夜、仕事を終えた後、ミュージック フォー ア ホワイルに着替える。一気にカラフルな非日常に包まれる。その香りに誘われて、心まで一気に開放的になる。

クラシカルなラベンダー、アロマックスな硬さ、そして煙たい印象の男性らしさから、フルーティーやグルマンの甘さが放たれることで、唯一無二の官能的なラベンダーが夏の夜に炸裂する。

 

ビヨンドラブ プロヒビティッド(キリアン)

9番ビヨンドラブ(初スタメン)。

ビヨンドラブは、チュベローズをほぼそのまま使いながら、チュベローズを構成する要素に強弱をつけることで、チュベローズの官能的な表情をしっかり残しつつも、さらに美しく磨き上げた香り。

チュベローズほど夏の夜に似合うフローラルはない。夜になると官能的な甘さが増すため、月下香と呼ばれるほど。

ビヨンドラブは、先に上げたGGGBの官能的な部分、夜の部分をフォーカスさせたような香りで、実際に肌に乗せてみると湿気や汗と見事に調和する。

そして、付け始めはむせるようなチュベローズの花のパワーに躊躇するものの、時間が経つほど肌と一体化してくる。

夏の夜は長い。夜の楽しい時間とともに、夜が更けるほど、肌と一体化し、みずみずしい甘さを帯び、輝きを増していくような、夏の夜を体現した香り。

 

 

ベンチメンバーの香り

ちなみに日本のプロ野球では、ベンチ入りできるメンバーは最大25人である。

どうせならこのサマーフレグランスでも、スタメンだけではなくベンチ入りメンバーも決めておきたい。

ベンチメンバーはそれこそ代打の切り札、セットアッパーなど先発投手以上に出番が多い香りもあれば、残念ながらベンチを温めるのみで、出場機会のない香りもあるかもしれない。

 

午前枠(7品)

ネロリ ポルトフィーノ(トム・フォード)はここ数年、夏にもっとも使用した香り。鞄に必ずボトルを忍ばせていた。クラシカルなメンズシトラスコロンを装いながら、官能的なホワイトフローラル。この組み合わせがとてもラグジュアリーで、使う度に満足する香り。

 

ロムイデアル コローニュ(ゲラン) は夏の朝だけに限らず、よく手に取る香り。それでも唸るような猛暑ではなく、少し暑さの落ち着いた朝に使う時が多い。コロンらしい爽やかさが主張しすぎず、チャーミング感や清潔な雰囲気が備わっているため、気楽に使うことができる。個性の強い私のラインナップのなかで、当たり前の日常をささやかに彩る香りは、逆に貴重だと感じている。

 

オードゥ ルバーブ エカルラット(エルメス)は、鋭いシトラスと清潔なムスクを骨格にしながら、宝石のようなレッドベリーやルバーブにより、世にも珍しい真っ赤なフルーティコロンの香りに仕上がられている。朝付けると午前中には消えている。その使いやすさから、夏の朝によく手を伸ばす香り。

 

オードゥコローニュ(シャネル)は「パーフェクトコロン」という評価に値する香り。いわゆるシトラスコロンの伴侶ハーバルノートを削り、ネロリでシトラスの爽やかさや明るさを引き出しつつ、香りの終わり方がとてもコスメっぽくて美しい。朝、このコロンを浴びるだけで、気持ちが晴れやかになる。

 

コローニュロワイヤル(ディオール)の、スプレーした瞬間のシトラスシャワーの素晴らしさは折り紙つきだ。爽快なレモンを中心に、マンダリンの苦み、ほんのりオレンジの甘さが添えられている。個人的には後半のオゾンの重さがあまり好きではないものの、最初の至極30分を味わいたくて、夏の朝に浴びたくなる香り。

 

テ カシミア(ディオール)はいわゆるシトラスティーのなかでも、シトラスやグリーンが強く、さらにそのグリーンが硬く冷たいため、特に夏の午前中に使いたくなる香り。涼し気なシトラスグリーンが鼻を刺激し、グリーンを帯びたフローラルの明るさが広がり、太陽の光と調和していく。そしてティーは肌の一番近いところでほんのり香る。とても使いやすい香りだと思う。

 

オードゥマグノリア(フレデリック・マル)はグリーン強めのシトラスが、まるで朝露のように凛としたマグノリアを包んでいく。ベースをムスクではなく、土っぽいウッディを合わせることで、最後までマグノリアの美しさを楽しめる。夏の朝にとても映える、フローラルの香り。

 

午後枠(5品)

アフタヌーンスイム(ルイ・ヴィトン)は、同門の後輩イマジナシオンによってレギュラーの座を奪われてしまった。それでもスプレーした瞬間の、海に飛び込んだ時のようなダイナミックなシトラスの飛沫はいつかいでも夏色だ。そして、火照った肌が午後の海水で冷やされていくような心地良さ。まさに夏の定番に相応しい。

 

アクアセレスティア フォルテ(メゾン フランシス・クルジャン)は、冷たさのあるグリーンシトラスと、その印象を引き立たせるように何層にも厚みを持たせた香り。これだけ涼しげで爽やかな香りを重ねながら、涼しい印象を崩すことなく、さらに弾けたように拡散する。夏の午後は暑い。まるで熱が身体にへばりつくようだ。そんなジメッと暑さをねじ伏せる、力強い夏の香り。

 

カーナルフラワー(フレデリック・マル)は、他のチュベローズ作品とは全く世界観が異なる唯一無二の香り。チュベローズの官能的な要素を感じながらも、その方向に沈んでいかない。ハーバルなグリーンがとてもナチュラルで癒される。それはまるで草原に咲くチュベローズのみずみずしい甘さが、夏風に乗って届けてくれているかのよう。夏の暑さによる疲労を労わってくれる、ナチュラルなチュベローズの香りに心も和らぐ。

 

サガノの詩(エラケイ)は、トップ・ミドル・ベースではなく、シトラス(ベルガモット、グレープフルーツ、ユズ)とフレッシュ(ナナミント、ユーカリ、抹茶、バンブー)をミックスさせた香り。特にユズの和柑橘らしいピリッとした苦みが鼻に優しく、

グリーンの硬さや涼しさがとても気持ち良い。竹林の中にいるような、竹の葉に遮られる太陽の光、凛とした佇まい、荘厳な空気が感じられ、夏の午後を静かに過ごしたい時に似合う香りだと思う。

 

チュベローズ40(ルラボ)はニューヨークの香り。雰囲気はネロリポルトフィーノに似ている。ネロリポルトフィーノのシトラス感を抑え、フローラル部分を重厚にしたような香りで、チュベローズやジャスミンなど夏の花々に包まれる。賦香率(30%)が高いため、夕方に使用すると、シトラスが日中の眩しさの名残のように感じられ、夜が更けるとともに、夏らしいフローラルの香りが複雑に絡み合い、夜の時間を演出してくれる。
 

 

夜枠(4品)

ムーンライトインヘブン(キリアン)は「月明かりが導く、楽園への逃避行」をテーマにした香り。リゾート地を連想させるトロピカルフルーツとココナッツと、メンズ的なアロマティックシトラスをミックスさせ、女性と男性、明るさと暗さの交錯している。それは夏の夜の喧騒的な明るさのようにも思えてくる。今年こそ、リゾート地で、この香りに包まれながら、夏の夜を楽しめるといいな。

 

エントレリオス(フエギア)を昨年の夏に使用してみて、この香りは日中よりも夜の方が似合うでのはと感じている。川の流れのように、フレッシュなレモン、レモンの果皮に包まれたみずみずしいベルガモット、ベルガモットのアロマティック感を帯びたメタリックなローズウッドと移り変わっていく。このメタリックなウッディが持つ野性味が、とてもナチュラルで深い。時折輝くシトラスが、さながら森に囲まれた川の水面に照らされた月の光のようにも思えてくる。

 

ルァーバガボンド(キャロン)はかなりビターなシトラスに、スモーキーなパチョリやベチバーを重ねた香り。タバコというよりもウッディの香ばしさの方が強い。まだ購入して間もないため、夏の夜、早く実装してみたいと思っている。

 

アバントゥス(クリード)は、個人的には夏の夜の香り方がもっとも好きだ。パイナップルの甘さや酸味に、アロマティックなベルガモットが溶け込んでいく。そこから木々が力強さを与えながら、時間とともに上品なシプレが男らしい色気を添えていく。こういう色気の強い香りは、開放的な夏の夜こそ発揮されるべきなのかもしれない。