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シャネル:ロー ルージュ N°1 ドゥ シャネル

CHANEL

N°1 DE CHANEL L’EAU ROUGE(2022年)

調香師:オリビエ・ポルジュ

おすすめ度:★★★☆☆

 

画像:公式HP

 

2022年に発売された「N°1(ヌメロアン) ドゥ シャネル」。

ガブリエル・シャネルが愛した植物であり、シャネルが長年研究してきたカメリアの力を取り入れた、新しいスキンケアライン。レッドカメリアは、唯一無二の並外れた生命力を持ち、そのビューティエナジーをスキンケアに留めることなく、メークアップ、フレグランスにも注ぎ込んだとのこと。

 

このロー ルージュ N°1 ドゥ シャネルは、シャネル初となるスキンケア発想のボディ用フレグランスミストであり、スキンケアと同様に、レッドカメリアペタルエキスとカメリアウォーターが配合されている。

やわらかく繊細でありながら、強靭な生命力を有するレッドカメリアからインスピレーションを得た香りで、まとうたびにビューティエナジーに満たされ、感覚を呼び起こし、美しさをつなぐとのこと。

 

では、ビューティエナジーに満たされる香りとは、どんな香りなのだろうか。


トップはフルーティ・シトラス。

スプレーすると、真っ赤なボトルの色とリンクするレッドベリーの香り。オレンジやレモンのシトラスが、そのレッドベリーをより鮮やかに装飾し、ペアのみずみずしさが嗜好を上げているようなオープニング。

トップからほんのり香るムスクが、近年のシャネルらしくもあり、また、スキンケアのような柔らかさを演出している。


ミドルはフローラル。

トップの爽やかなレッドベリーを香らせながら、ピーチを含んだピンクイメージのローズと、なかなかエキゾチックなジャスミンの香り。フルーティローズ単体だと若々しく可愛らしい。そこに官能的なジャスミンやオレンジフラワーを重ねることで、甘酸っぱくも嗜好性の高いフローラルフルーティの香りに整えられている。


ベースはパウダリー・ムスク。

引き続き、赤みの映える甘酸っぱいローズを残したまま、柔らかいムスクやアイリスのパウダリーウッディ調を漂わせながらドライダウンしていく。

 

フレッシュなフルーティと嗜好の良いフローラルが、強く拡散することなく、ベースのパウダリー感が肌に溶け込むように、2~3時間持続する。

 

公式HPによると、腕やデコルテ、首など全身にたっぷりスプレーし、やさしくなじませるとあり、通常のフレグランスのようにウエストなどにスプレーするとあまり香ってこない。 

 

近年のシャネルの香りは、いわゆるシャネルらしさが削ぎ落とされたものが増えている。

かつてシャネルのフレグランスは、ドレスアップの仕上げであり、生き方の投影であり、憧れの対象だった。

 

しかし、シャネルはニッチブランドではないため、オリビエ・ポルジュには、シャネルとしてのパフォーマンスを維持しながらも、常に新しいファンの心を掴むような香りを創り出す責任が課されている。

 

ヌメロアン ドゥ シャネルは、フレグランスとして考えると、強靭な生命力、ビューティエナジーとは程遠い、若々しくも上品な嗜好性重視のフローラルフルーティの香りだと思う。

それでも、これがスキンケアの香りと考えると、フルーティの甘酸っぱさを放熱するような美しいカメリアの香りとして映るのではと思えてくる。チープな印象はまったくなく、時間が経つほど上品なアイリスのきめ細かいパウダリー感が肌と調和し、さすがシャネルと思わせる。

何よりも、朝に使うと肌が目覚めていくような感覚を楽しめるのだから。