LE LABO
CORIANDRE 39(2024年)
調香師:不明
おすすめ度:★★★☆☆
画像:公式HP
コリアンドル39は、メキシコシティのシティエクスクルーシブで、17作目の作品にあたる。
コリアンダー(フランス語ではコリアンドル、タイ語ではパクチー)は、フレグランスでは特にメンズのトップのアクセントとしてよく使用される素材で、スパイシーな刺激や、ハーバルな冷涼感やみずみずしさを付与してくれる。とはいえ、コリアンダーが主役の香りを私は知らない。
同じシティエクスクルーシブには、ポアブル23(ポアブルはペッパーの意)いうスパイシーが主役の香りがあるが、ブラックペッパー、ピンクペッパー、セシュアンペッパー(花椒)が爆発するような、名前負けしない香りだった。
今回のコリアンドルもスパイシーに振り切った香りなのだろうか。
トップはシトラス・グリーン。
スプレーすると、まず鋭いライムの果皮感が鼻を刺激する。そこからすぐに主役コリアンダーが、水気を帯びたハーバルグリーン的に広がる。このシトラスグリーンの鋭い香りを、ソーピーなアルデヒドが柔らかく伸ばしているようなオープニング。
ミドルはグリーン・アクアティック。
フレッシュなライムが抜けてくると、コリアンダーのシルエットがはっきりしてくる。鼻先は緑というよりも青みがかった刺激感、中心はみずみずしいアクアティックな香り、そして奥からはパクチーを思わせる青臭さ。全体的な色味は緑というよりも青色だと感じる。
ところが鼻先は刺激はアルデヒドの丸みを帯び、中心はグリーンやアクアティック強めのミュゲが香るため、良くも悪くも爽やかで清々しいグリーンアクアティックフローラルの香りにまとめられている。
時間と共にグリーンノートが濃くなっていき、うっすら感じられるジャスミンサンバック調の重めトーンと、上のほうに漂うアルデヒドのパウダリー感が折り重なることで、グリーンティーというよりも抹茶のような雰囲気にも感じられる。
ベースはムスキー。
グリーンフローラルの残香を、分厚いムスクが包み込むようにドライダウンしていく。
スプレーした瞬間は、鋭いシトラスやハーバルグリーンが目立つため、それほど持続しないのかなと感じるも、中心のグリーンフローラルや、アルデヒドムスクのソープ調がかなり太く、しっかり6時間くらいは香り続ける。
終盤までグリーンの存在を感じ取れる、春夏に似合う香り。特に夏場は、優しくも爽やかで清潔感溢れる香りが、暑さや湿気に埋もれることなく香り続けるため、かなり重宝するのではと思う。
コリアンダル37は、メキシコシティの静けさと躍動感の間を揺れ動くような感覚的な香りとのこと。静けさはこのフレグランスの背骨、クラシカルなグリーンフローラルソープであり、躍動感はコリアンダーやライムのフレッシュなアクセントだと感じる。
躍動感パートの主役的立ち位置のコリアンダーの個性が、アルデヒドやアクアティックに薄められてしまい、全体的なコントラストは静けさ85%、躍動感15%のようなイメージだと思う。静けさと躍動感の間を揺れ動くというよりも、静けさにコリアンダーというそよ風が時折フワッと鼻をくすぐるような香り。
良く言えばかなり使いやすい、でもシティエクスクルーシブにはもう少し個性的な香りを求めたくなる。