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トバリ:スモーク フラワー

TOBALI

SMOKE FLOWER(2017年)

調香師:不明

おすすめ度:★★★★☆

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画像出典:公式HP
 
2018年のサロンドパルファンで、トバリのブースを訪れた時、オリジナリティ溢れる香りたち、さらにはボトルや化粧箱まで日本らしさが埋め込まれた、その完璧なまでの世界観に陶酔した。なかでも、スモークフラワーのコンセプトと香りに触れた時、日本のフレグランスメーカーの明るい未来を感じたことを思い出す。
 
以後、私のなかで、サロンドパルファンでトバリの新作をチェックすることはマスト事項になっていった。
 
時の権力者や特権階級のみを相手にし、至高の美しさで人々を虜にした最高級遊女「花魁 高尾太夫」。艶やかな色気と、したたかな知性で人々を虜にした。
スモークフラワーは、そんな高尾太夫の色気に秘める知性をテーマにした香り。
 
トップはスパイシー。
スプレーすると、ピンクペッパー、カルダモンのスパイシーが鼻を刺す。さらにクローブの湿った辛みや、暗いサンダルウッドが香ることで、鋭いスパイシー感をより引き立たせたようなオープニング。
 
ミドルはフローラル。
そのスパイシーを効かせたまま、ミュゲが香る。鼻に青みが迫ってくるような、凛としたミュゲだ。そこからミュゲのみずみずしいフローラル感を増し、一方でカルダモンのスモーキー感、生薬のようなレザー、タバコのようなウッディがミュゲを囲んでいくことで、ミュゲの白さや甘さがどんどん立体的になっていく。
 
ベースはウッディ。
スパイシーな辛みに包まれ、青い光を放つミュゲと、スモーキーなウッディやドライアンバーの暗さが対比することで、黒いキャンパスに白い一輪の花のようなイメージ。
奥から、日本香堂と共同開発した「Hidden Japonism834」ベースがしっかり感じ取れる。ウードのような動物的な温もりと、墨汁を思わせるツンとした刺激を合わせた、我々日本人には懐かしさもあり、スッと鼻になじんでいく。そんなウッディを漂わせながら、ドライダウンしていく。
 
スパイシー、フローラル、ウッディのどれかが特出することなく、調和していくような香り。ベースのウッディもどちらかといえば淡く、4時間くらい持続する。
 
緊張感のあるスパイシーミュゲと、暗いウッディのコントラストを立たせた香りで、秋から冬に似合うと思う。
 
香りのイメージは、漆黒のキャンパスに置かれた、たった一輪の白い花。白色の美しさ、そして一輪の強さと儚さが映えるような、とてもキャラクターが確立されている香り。好き嫌いがはっきり分かれる香りだと思う。
 

極彩色の花々をまとい、圧倒的な容姿の美貌をもち、茶道や華 道など高度な教養を身につけ、煙草を燻らせながら最高峰の男達を魅了した。まさに雲の上の憧れの存在であった。その華やかさとは裏腹に、真の愛を求めて自分の命をかけて一人の男を愛する一途な側面ももつ。至高の遊女 でありながら、一人の男を愛する矛盾。究極の華やかさと切なさを併せ持つ、まるで煙の中で凛と咲く一輪の花のような女性(公式HPより)

 

確かにと感じながらも、スモークフラワーの香りには女性よりも男性を感じてしまう。

考えられる理由は2つあって、まず全体的にスパイシーが強く、ミュゲが辛過ぎるから。もっとグリーンを効かせたミュゲの方が、女性の切なさが表現できたのではと思う。

そして煙というよりもウッディが勝ちすぎているのではと感じる。もっとスモーキーが強ければ、煙の中で凛と咲くミュゲが見え隠れすることで、女性の神秘性が伝わったのかもしれない。

 

それでも、スパイシーの鋭さをかいくぐって現れる、ミュゲの潔癖な姿に、高尾太夫の姿が重なり、それを掴もうとすると煙に巻かれたようにスパイシーやウッディに包まれる。手に届きそうで届かない、まるで花魁に魅せられた男性の香り。