FREDERIC MALLE EN PASSANT(2000年) 調香師:オリビア・ジャコベッティ おすすめ度:★★★★☆ 公式HPより 近年、注目のライラック。 そんなライラックの香りの中でも、発売から四半世紀を迎えた「アンパッサン」は、もはや古典的存在といえるかもしれない。ま…
第五回:渚の境界線 鼻腔の奥に劇薬が侵入した瞬間、真壁は、自分の足元にあるはずの「現在」という床が消失したのを感じた。 吸い込んだのは、単なる香りではなかった。それは意識の深層に突き刺さる重い楔(くさび)だった。アトリエ渚の、あの無機質な…
第四回:志乃の処方箋 志乃が手に取ったのは、ガラス製の細い攪拌棒だった。書き換えられ、黒いインクで汚れた処方箋。その処方箋を見つめながら、既に彼女の感覚は完全に指先へと転移していた。 動きには一切の淀みがない。ライブラリーの中から、重厚な…
第三回:記憶の部品 その写真は、真壁の指先の熱を吸い取っていくかのように冷たかった。自室の机に置かれた「結衣」の姿。五年前、光の中に溶けかけていた彼女の輪郭は、アトリエ渚で嗅いだあの匂い――古い紙束と、乾ききった潮風の記憶――と重なった瞬間、暴…
CHANEL N゚5 オードゥ トワレット(2026年)※オリジナルは1924年 調香師:オリビエ・ポルジュ おすすめ度:★★★★☆ 公式HPより N°5 オードゥ トワレット(以下EDT)が新しく生まれ変わると聞いて、「何を今さら」などとは全く思わず、逆にシャネルらしいなと納…
第二回:言語化する傍観者 二度目にアトリエ渚を訪れたとき、真壁の足取りは前回よりも重かった。蔵前の路地に入ると、肌に纏わりつく湿度が、まるで記憶の澱のように重く感じられる。一度自覚してしまった「空白」は、埋めようとすればするほど、その縁から…
第一回:境界の潮目 アトリエ渚は、蔵前にあった。隅田川沿いの通りから一本入った路地。川そのものは直接見えないが、空気の重さと風の巡り方で、水面が近いことは肌が知っている。潮の満ち引きに呼応するように、街の湿度は刻一刻と形を変えていた。真壁は…
数少ない友人の中に一人の調香師がいる。 蔵前の古いビルにアトリエを構えるその女性は、花々の芳香を愛でるようなロマンチストではない。彼女は、人の脳裏に焼き付いた感情を化学式へと分解し、再構築する「記憶の外科医」に近い。 私たちが初めて出会っ…
DIOR LUCKY(2018年) 調香師:フランソワ・デュマシー おすすめ度:★★★★☆ 画像:公式HP もしも「幸福」に香りがあったとしたら。 かつてクリスチャン・ディオール本人は、ショーの直前にモデルのドレスの裾に一輪のミュゲ(スズラン)を縫い込み、ラッキー…
GUERLAIN L'HOMME IDEAL COLOGNE FORTE(2025年) 限定品 調香師:デルフィーヌ・ジェルク おすすめ度:★★★★★ 画像:公式HP 廃番となってから5年以上経つ「ロムイデアル コローニュ(2015年)」は、今でもお気に入りのシトラスコロンの1本だ。 ありふれたシ…
GUERLAIN PÉCHE MIRAGE(2025年) 調香師:デルフィーヌ・ジェルク おすすめ度:★★★★☆ 画像:公式HP 忘れかけていたこの感覚。 でも、初めてペッシュミラージュの香りをかいだ瞬間、眠っていた感情や記憶が戻ってきた。 香りで気持ちが高鳴ること。目の前の…
LE LABO CORIANDRE 39(2024年) 調香師:不明 おすすめ度:★★★☆☆ 画像:公式HP コリアンドル39は、メキシコシティのシティエクスクルーシブで、17作目の作品にあたる。 コリアンダー(フランス語ではコリアンドル、タイ語ではパクチー)は、フレグランスで…
LOUIS VUITTON LV LOVERS(2024年) 調香師:ジャック・キャヴァリエ おすすめ度:★★★★☆ 画像:公式HP ヴィトンの最新作LVラバーズ(以下ラバーズ)は、イマジナシオン(2021年)以来のメンズフレグランスで、イマジナシオン以上によりジェンダーレスな香…
KILIAN BACK TO BLACK -aphrodisiac(2009年) 調香師:カリス・ベッカー おすすめ度:★★★★☆ 画像:公式HP バック トゥ ブラックは、ルーヴルノワール(愛が描く甘い誘惑の世界)コレクションとして2009年に発売された(現在はスモークのファミリー)。 暗闇…



