フレグランスアッセンブル

フレグランスの香りの変化を解析するサイト

ル ラボ:キュイール 28

LE LABO

CUIR 28(2013年)

調香師:ナタリー・ローソン

おすすめ度:★★★☆☆

 

f:id:captain_dora:20210823191649j:plain

画像出典:公式HP

 

ドバイのシティ エクスクルーシブ、キュイール28。キュイールとは革の意で、公式HPによると「汗とガソリンのない『イージー・ライダー』のようなイメージ」という、とても分かりにくい説明がなされている。はたしてどんな香りなのだろうか。

 

トップはウッディ。

スプレーすると、ベチバーにカルダモンのようなスパイスを少しだけ効かせたアロマティックなウッディが香ってくる。仄かにバニラリキュールのような白い甘さを添えて。そこから少し遅れて、スモーキーなタールのような渋みの強いウッディが、一気に押し寄せてくる。

 

ミドルはウッディ・アニマリック。

鼻先はベチバーのアロマティック感を香らせながら、タールのようなウッディ部分は、湿り気のあるレザーや、バニラの甘さが加わることで、どんどんアニマリックな深みを強くしていく。

上の方は紳士然とした上品なアロマティックウッディを装いながらも、奥のアニマルウッディはさらに脂のようなコクも加え、獣感が増していくことで、野性味や牙を隠し切れていないようなイメージに。

 

ベースはレザリー・ムスキー。

そして、さらにここからワイルド感が溢れていくと思いきや、底の方のムスクやバニラが強くなることで、ワイルド感が白く抜けていく。

上の方は埃っぽいレザーやベチバー、奥の方から人肌のようなムスクやアンバーいうバランスに逆転している。今度は、白いTシャツ1枚で、ライダースの革ジャンをスマートに着こなすようなイメージに変わっていく。革ジャンはもちろんイージー★ライダー仕様。

やがて、そのワイルドさも白いムスクに包み込まれていくようにドライダウンしていく。

 

アニマリックなワイルドウッディが2時間少々、タールのようなウッディからムスクが前に出てくる香りは4~5時間くらい持続して、いつの間にか肌になじんでしまう。

 

ウッディ・アニマル・レザーを掛け合わせたような香りのため、やはり秋冬の寒く乾燥した季節に似合うのではと感じる。

 

キュイール28は、実際にかいでみると「イージー・ライダーのようなイメージ」の香りという表現に納得する。

溢れるような野性味は、いつの間にか革ジャンを着こなすおしゃれな人に変わっていたような香り。そして、イージー★ライダーの自由と開放を求めた旅路の先の敗北。香りの流れとイージー★ライダーのストーリーが重なってくる。

 

おそらく動物の皮の香りをイメージすると肩透かしされるのではと思う。なぜならキュイール28は、革ジャンを着こなしている時の香りなのだから。

ではなぜ、ドバイのシティ エクスクルーシブのイージー★ライダーのイメージした香りにしたのだろうか。それはわからない。

 

アニマリック全開の香りはかっこいいかもしれないけど、使いこなすのはなかなか難しい。いくらアニマルが好きだとしても、イノシシの面はかぶれないし。

だからこそ、革ジャンのワイルドさに憧れるのではないだろうか。そして仕上げはキュイール28。