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エルメス:オスマンサス ユンナン

HERMES

HERMESSENCE OSMANTHE YUNNNAN(2004年)

調香師:ジャン=クロード・エレナ

おすすめ度:★★★★☆ 

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画像出典:公式HP 

 

近年、人気急上昇の金木犀(オスマンサス)。なかでもエルメッセンスのオスマンサス ユンナンは、特に好きなオスマンサスの香り。

 

調香師ジャン=クロード・エレナの腕が存分に発揮された完成度の高い香りで、使われている素材はシンプルでありながらも、香りの流れが計算し尽くされていて一切の無駄がない。

オスマンサス ユンナンについて公式の説明では

「北京の故宮を訪れた時、どこからともなく漂ってくる魅惑的な香り。香りに導かれ、故宮を奥の方に進んで行くと満開のオスマンサスが目の前に現れました。11月、その花は小さな外見に合わずアプリコットのような、存在感があるフリージアのような香りを放っていました。風光明媚な雲南(ユンナン)省のお茶に香りのイメージが重なってこのフレグランスが生まれました」

とあり、ジャン=クロード・エレナの故宮で得たインスピレーションや香りが、そのまま再現されていると感じる。

 

トップはシトラス・グリーン。

スプレーすると、金柑のような酸味のあるシトラスと、爽やかなティの香り。この甘さを抑えたティーが、シトラスの甘さやみずみずしさを美しさ引き立たせているようなオープニング。

 

ミドルはフローラル・フルーティ。

そして、アプリコットの酸味やみずみずしさの強いオスマンサスの香りが登場する。フレッシュな酸味と、みずみずしい透明感が合わさることで、うっとりするような美しいオスマンサスが香りに酔いしれる。

 

ベースはフルーティ・ウッディ。

みずみずしさが弱まり、ツンとするフレッシュなオスマンサスに。さらにフレッシュ感も収まることで、オスマンサスの裏に隠れていたフリージアの香りがはっきりとその姿を現していく。そのフリージアの奥に少し燻したようなティが香ることで、淡いアプリコットティのような香りでドライダウンしていく。

 

キラキラと輝くフルーティなオスマンサスは1時間くらい香り、そこからフローラル感を増しながら、最後はフルーティなティーの香りに戻ってくる流れで、全体では3~4時間持続する。

 

香りの流れは、シトラスとティとアプリコットのフレッシュな香りからスタート。その残香とフリージアを合わせることで、透明感のあるキンモクセイの香りとして表現している。さらにその残香に少しレザー調のスモーキーなティーを重ねることで、淡いアプリコットティーの香りでまとめている。この流れを邪魔するような香りは全て排除されていて、全体的には透明感のある水彩画のような香りに仕上げられている。

オスマンサスの明るさやみずみずしさにそっとティーを添えることで、肌や空気と調和していくような美しいオスマンサスの調べ。ジャン=クロード・エレナの詩的なセンスが冴え渡る、まるで叙景詩のような香りで、とても芸術性の高いフレグランスではないだろうか。

 

オスマンサスの周りをフルーティ、シトラス、グリーンが囲んだような、通年使える香り。でもこの香りは輝くのは、ジャン=クロード・エレナのコメントのとおり、11月前後だと思う。

9月に入っても暑い日が続く一方で、ふと秋の気配を感じることがある。そんな秋に焦がれる気持ちから、このエルメスのオスマンサスのみずみずしい甘さに包まれてたくなる。

そして、急に空気が乾燥しはじめる11月、強い甘さや深い温もりが恋しくなる一方で、この凛とした空気に身体を晒したくなるときがある。そんな日は、この透明感のあるオスマンサスの香りは、その凛とした空気を濁すことなく、淡いオレンジのシャワーで、乾いた空気に彩りを与えてくれる。そんな美しいオスマンサスの香り。