CHANEL
LES EXCLUSIFS DE CHANEL LE LION DE CHANEL(2021年)
調香師:オリビエ・ポルジュ
おすすめ度:★★★★☆
画像:公式HPより
獅子座生まれのココ・シャネルにとってライオンはシンボルであり、情熱的な輝きを放つライオンを、彼女はお守りように生涯愛したとのこと。
今からちょうど1年前に発売された、ゼクスクルジフの中でもっとも新しい作品ル リオン ドゥ シャネルは金色の輝くライオンを、オリエンタルと力強いアンバーで表現した香り。
トップはシトラス。
スプレーした瞬間、爽快なレモンや、みずみずしいベルガモットの甘さが鼻を差すも、すぐにラブダナムのアニマリックレザー部分が一気に覆いかぶさるような迫力あるオープニング。
ミドルはバルサミック・アンバー。
鼻先にクラシカルなベルガモットの余韻を感じながら、ラブダナムのバルサミック部分の甘さが重なることで、一瞬シャリマーの面影がよぎる。
そんなオリエンタルな甘さに包まれた力強いアンバーが、さながら黄金のベールをまとったように香る。
奥からはラブダナムのアニマリック部分と、パチョリのスモーキー部分が合わさり、ややもすれば動物臭くも感じられる湿ったレザーの香りが漂っている。
ベースはアンバー・ウッディ。
そんな黄金色のアンバーを輝かせながら、アニマリックよりも、バニラの甘さを加えたオリエンタルの香りが優勢になってくる。
やがて黄金色のアンバー、アニマリックとサンダルウッドの焦げたウッディ、そして洗練されたバニラムスクの3つ巴となり、そのままドライダウンしていく。
ムエットよりも肌の方が、ラブダナムのアニマリックな甘さとアンバーの力強さが増す。その上にキラキラとオリエンタルの香りが輝くように、8時間以上持続する。
輪郭こそシャリマーが重なるオリエンタルな香り。でも骨格のアンバーやウッディレザリーはとても分厚く、秋冬の肌寒い日に似合う香りだと思う。
本文で何度もシャリマーという名が出た通り、よくシャリマーに似ていると評される香り。確かにパッとかいだ印象は似ているかもしれない。それでも方向性は全く違うのでは感じる。
シャリマーは、クラシカルなベルガモットと包み込むようなバニラの軸に、めまぐるしく香りを変化させながら、そのバニラに溺れていかない緊張感、言葉を変えれば品格がある香り。
リオンは、クラシカルなオリエンタルやレザーで前後を固めたアンバーの香りで、アンバーの部分は例えば、バカラルージュやニュイマグネティックのようにとても現代的に思える。
つまりクラシカルとモダンを融合させた洗練な香りで、ボーイと同様に、こういう香りを創らせるとオリビエ・ポルジュは当代一ではないだろうか。
むしろ、シャリマー以上に、随所にコロマンデルやキュイール ドゥ ルシーのような、シャネルの面影を強く感じる。
新年が始まった。
ココ・シャネルが誇りと情熱を持って取り入れてきた金色に輝くライオン。その輝くオーラと荘厳な温かみに包まれて、良き一年にしようと願う。