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セルジュ・ルタンス:ダチュラ ノワール

SERGE LUTENS

DATURA NOIR(2001年)

調香師:クリストファー・シェルドレイク

おすすめ度:★★★☆☆

 

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画像:公式HP

 

ダチュラノワール。和名「黒のダチュラ」。

豪奢に咲く、ダチュラの白い花。 世界のあらゆる場所で、さまざまな儀式に使われてきた花。 自ら強いパワーを放ち、周りのエネルギーを吸い込んで さらに魅力を増す。 ひとをひきつけ、また惑わすような、比類の無い香り(公式HPより)

 

ダチュラは有毒植物で、幻覚作用や、痛覚を鈍くさせるため、全身麻酔や自白剤として使用されていたという。そして、夜に花を咲かせるその香りは、強い麝香のような香気を放つらしい。

 

ダチュラノワールの華やかで棘のあるフローラルブーケと、ココナッツやアーモンドの可愛らしい甘さ。この対極の香りがとてと魅惑的で心が奪われる。

 

トップはシトラス・フルーティ。

スプレーすると、レモンやマンダリンの果皮を効かせたビターなグリーン、そこにアーモンドのコクのある甘さがフワッと香る。

 

ミドルはフローラル・フルーティ。

思ったよりもレモン果皮の苦みが持続するため、これがレモンブロッサムのようだ。ここにチュベローズ、アーモンド、ココナッツなどコクのあるフローラルな甘さが襲ってくる。最初のうちは、アーモンドのアルデヒドが芳香剤のように鼻に付くため、少し戸惑う。

そこから独特の世界観を創り出す。アーモンドが落ち着いてくると、とても妖艶なチュベローズが、アーモンドの硬い甘さ、さらにはレモンフラワーに包まれ、鋭く香る。

一方で、ココナッツやヘリオトロープの白い甘さに、キンモクセイを添えたフローラルブーケが香る。
近寄りがたい華やかさと、親しみのある甘さを合わせたようなこの香りは、有毒であると分かっていても引きつけられる、、、まるでダチュラのようだ。

 

ベースはバルサミック・ムスキー。

そこにアプリコットのような酸味のある甘さが加わることで、チュベローズやキンモクセイなどフローラル感が甦ってくる。最後はヘリオトロープの白いパウダリー感、バニラとトンカビーンの柔らかい甘さや、ミルラを加えた少しビターなムスクを香らせながらドライダウンしていく。

 

持続時間は3~4時間程度。スプレーしてから30分程度は蕾のような硬いチュベローズ、そこから白い甘さとコクを増しながら、どんどん妖艶になっていく。

 

季節や昼夜を問わない香り。それでもこの香りの個性がもっとも発揮するのは夜だと思う。太陽の光を浴びると、甘いフローラルフルーティな香り終わってしまうため、この香りの妖しさが輝かない。漆黒に包まれてこそ、ダチュラの白さが輝くのではと感じる。

 

ダチュラノワールの骨格は、妖艶なチュベローズの刺と、少女のようなアーモンドココナッツの白く硬い甘さとの対比だ。その中間にヘリオトロープのパウダリーなフローラル感を置くことで、全体を妖しい雰囲気にまとめている。

攻撃的で艶っぽさと、少女のような甘酸っぱさが共存した香りは、キリアンのグッドガールゴーンバッドと少し重なる。

グッドガールゴーンバッドは少女から大人への移り変わりがとても自然で美しい。

逆にダチュラノワールは少女から大人に移り変わることなく、ヘリオトロープがそれぞれを助長しているかのように感じる。それが香りにも現れていて、体温や気候によって、フローラル感が強く出たり、ココナッツ感が出すぎてしまったりするため、その危なさがクセにもなるし、魅惑的にも思える。

 

世界のあらゆる場所で、さまざまな儀式に使われてきたダチュラの白い花。自ら強いパワーを放ち、周りのエネルギーを吸い込んでさらに魅力を増す。ダークサイドな香り。