GUERLAIN
AQUA ALLEGORIA ROSA ROSSA FORTE(2022年)
調香師:デルフィーヌ・ジェルク
おすすめ度:★★★☆☆
画像:公式HP
2022年8月、ゲランの人気シリーズ「アクア アレゴリア」に、新たなウッディな素材を加えた新ライン「「アクア アレゴリア フォルテ」が誕生した。
人気のマンダリンバジリックとローザロッサを、より深みを増したパワフルな香りへと再構築したとのこと。
マンダリックバリジック フォルテは、バニラやウッディをかなり効かせ、バジルやマンダリンを際立たせた香り。しっかりとしたフレグランスとして仕上げられているため、逆にアクアアレゴリアらしくなくなってしまったように感じた。
一方、ローザロッサ フォルテは、アクアアレゴリアらしさを残しながら、よりローズに厚みを持たせたような、フォルテのコンセプトに合った香りなのではと思っている。
トップはピーチ。
スプレーするとジューシーなピーチの香り。ネクター(ジュース)を想起させるホワイトピーチを、カシスでみずみずしく装い、ピンクペッパーでそのカシスの青さを立たせ、ピーチの甘さを締めているようなオープニング。
少しカシスが荒っぽく感じられるものの、その分ピンク色の輪郭がかなりはっきりしている。
ミドルはローズ・ピーチ。
鼻先では、グリーンを効かせたピーチの甘さを立たせながら、ピーチの白い実の中心に、同じくピンクイメージのローズを滴らせて、ゆっくりと広げていくイメージ。
このフォルテではローズウォーター、ローズエッセンス、ローズアブソリュートが使用され、ローズはしっかりしている。周囲はピンク色の桃の実の香りを漂わせながら、中身はどんどんローズに染められていく。
時間の経過とともに、ローズの酸味や赤さが前に出てくることで、桃に鼻を近づけてみると、桃の甘さでなく、ローズがツーンと広がっていくような香り。
ベースはウッディ・アンバー。
そんなフルーティな甘酸っぱさや青さに包まれたローズは、奥の方から白っぽいサンダルウッドやアンバーやパチョリが、白桃の甘さや白さを少しずつ甦らせ、ローズピーチとしてまとまっていく。
最後はサンダルウッドにムスクの白さを加え、ローズピーチの香りのままドライダウンしていく。
青みを効かせたピーチが、2~3時間かけてローズに染められ、今度はピーチの甘さを取り戻しながら、全体では5~6時間持続する。ローザロッサと比較するとかなり香りが力強く、フォルテというよりもフォルテッシモではないか。
春~夏~秋の日中に似合う香りだと思う。
まるで、トップのフレッシュピーチが春を、ピーチの熟していくようなローズが夏を、そして完熟したピーチアンバーの甘さが秋の夕暮れを、それぞれ想起させる。
フォルテでは、フランス産、トルコ産、ブルガリア産のローズから抽出されたローズウォーター、ローズエッセンス、ローズアブソリュートが使用されている
ローズがメインの香りは華やかすぎる、ピーチがメインの香りは可愛いすぎる。その中間あたりを狙った香りであり、さらに香りの変化も楽しめるため、おすすめしやすいフレグランスだと思う。
驚いたことに、公式HPをチェックしてみると、フォルテバージョンでも、おすすめの組み合わせがある。
でも、なぜかそこにはローザロッサがない。
ローザロッサのライチやカシスを添えた、爽やかなフルーティローズの香りは、春夏を明るく彩ってくれる。
フォルテの上から、ローザロッサのフレッシュローズのシャワーを浴びる。個人的にはローザロッサとの組み合わせがもっともおすすめではと思っている。