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ゲラン:アクアアレゴリア マンダリンバジリック

GUERLAIN

AQUA ALLEGORIA MANDARINE BASILIC(2007年)

調香師:マリー・サラマーニュ

おすすめ度:★★★☆☆

 

画像:公式HP

 

2022年にリニューアルされたアクアアレゴリア。

公式HPを見ると、以前から特に人気が高かったこのマンダリンバジリックは、リニューアル後もアイコニックフレグランスとして紹介されている。

毎年新作が発表されるアクアアレゴリアのなかで、なぜマンダリンバジリックはずっと人気があるのだろうか。

 

「〈マンダリン バジリック〉は、柑橘類の中で最も濃厚な香りを放つマンダリンオレンジをベースにした、喜びを感じさせるフレグランスです。バジルとの絶妙なミックスは、意外性のある輝きを放ちます。」 ティエリー・ワッサー(公式HPより)

 

トップはシトラス・スパイシー。

スプレーすると、甘いみかんジュースを思わせるジューシーなオレンジの甘さと、マンダリンの青い果皮感が上手く調和した、眩しいくらいのフレッシュシトラスの香り。バジルのピリッとしたアクセントが、果皮のほろ苦さはっきりさせることで、逆にシトラスのフレッシュな甘さ、そしてナチュラル感を引き出しているようなオープニング。

 

ミドルはグリーン・ハーバル。

そんなバジルを効かせたビターなマンダリンと、ややウッディ調の硬いハーバルに包まれたティーに、少しずつオレンジフラワーの甘さ。このあたりが洗練されたエッセンスが散りばめれているようにも映る。

とはいえ、それらはサポート的な役割で、あくまで主役はオレンジ色のシトラス達。全体の印象としてはトップからのシトラスのフレッシュな果実甘さから、ほろ苦い果皮の硬さに移ろっていくようなイメージに感じる。

 

ベースはウッディ・アンバー。

マンダリンの果皮の残香をセダーウッドと重ねることで果皮の雰囲気を保ちつつ、アンバーの甘さを加えることで、みかんの皮を思わせる甘い香りが続く。そこから、徐々に甘さが抜けて、仄かに果皮感を残したウッディの香りでドライダウンいていく。

 

持続時間は3時間程度。弾けるようなマンダリンと、弾けすぎないように引き締めるマバジル。シトラスのフレッシュ感が落ち着くことで、マンダリンとバジルが一体となり、大きく変化することなく香り続ける。

 

シトラスのフレッシュ感やジューシーな甘さに、バジルのピリッとしたアクセントをそえたような香り。夏に似合う香りでありながら、このみかんにも似たシトラスの表現は、季節や性別や世代を問わずに楽しめる香りだと思う。

何よりも、シトラスが持つ陽気さがいつかいでも気持ちよく、使用頻度も高い。

 

アクアアレゴリアは、 自然の美しさと魅惑的な数々の天然素材へのオマージュから生まれたコレクションで、このマンダリンバジリックは川岸の芝生に腰を下ろし、甘酸っぱいフルーツを頬張るひと時を描いた香り。

 

マンダリン、バジル、セダーの素材をしっかり味わいながらも、ティーやフローラルやアンバーで味付けしつつ、いわゆるガチガチのフレグランスではない。このアロマっぽさとフレグランスらしさとのバランスの良さこそがアクアアレゴリアの最大の魅力であり、このテーマは世代も性別も問わないということを教えてくれるような香り。