フレグランスアッセンブル

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ゲラン:シャリマー オーデパルファン

GUERLAIN

SHALIMAR Eau de parfum(1925年 ※オーデパルファンは1990年)

調香師:ジャック・ゲラン

おすすめ度:★★★★★

 

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(公式HPより)

 

今まで出会ったフレグランスのなかで、もっとも完成された香りといえば、私はゲランのシャリマーだと思う。

レビューを更新するにあたり、今、久しぶりにシャリマーの香りを確認してみても、引き込まれるような磁力があり、やはりその意見が揺らぐことはない。

 

過去、いわゆるクラシカルなフレグランスは、自分には関係のないカテゴリーの香りだと思っていた。

ところが、シャリマーの香りをかいでみると、それは食わず嫌いだったことに気づかされる。現に、シャリマーの素晴らしさが分かってきてから、フレグランスへの視野が数倍にも広がったのでと感じている。

 

シャリマーは、フレグランス界を代表するオリエンタルの香りで、特にバニラの香りがもっともうまく使われている香りではないだろうか。

それだけでなく、シトラス、フローラル、バルサミック、ウッディ、スパイシーなど個々の素材が絶妙なバランスで配合され、フレグランスという商業製品が、芸術作品まで高められている大傑作だ。


トップはシトラス。

すっきりしたレモンと、ベルガモットの香り。とてもみずみずしくまろやかなベルガモットで、仄かに香るスパイシーな香りが、そのベルガモットをより引き立てているようなオープニング。

 

ミドルはフローラル・パウダリー。

シトラスのすっきりした香りがおさまってくると、やがてパウダリーなアイリス、官能的なジャスミン、ローズなどが香ってくる。そこにベルガモットのみずみずしい余韻と、セダーウッドの仄かなウッディ感が、香りをより複雑にしているようなイメージ。さらにバニラの甘さで、香り全体を柔らかく包み込んでいる。

 

ベースはオリエンタル・ウッディ。

みずみずしいフローラルから、バニラやトンカビーンの甘さ、オポポナックスのバルサミックな酸味、パチョリやサンダルウッドが調和したオリエンタルな香り。懐かしさや心地良さを感じる。同時に、名香ジッキーの面影を感じさせるスパイシーな香りや、オークモスが全体をピリッと引き締めているため、オリエンタルの香りに溺れることなく、香り全体に緊張感を与えている。

やがて、バニラの甘さが深まっていくものの、どこかNo.5のようなマニマリックな温もりを香らせながらドライダウンしていく。

 

持続時間は4~5時間程度。かなりシトラスがしっかり香るため、通年使うことができるが、ベルガモットとバニラの組み合わせた、このみずみずしい甘さが生きるのは秋冬だと思う。

 

ゲルリナーデ(ローズ、アイリス、バニラ、トンカビーン、ベルガモット、ジャスミン)が全て顔を出すが、特にシャリマーではベルガモットとバニラの存在感が際立つ。

他のゲランの香りをかいだとき、ベルガモットやバニラの香りがするとき、決まって「このベルガモットの感じはシャリマーみたい」「このバニラの香りはシャリマーに似てる」と感じるくらい、ゲランのベルガモットとバニラ=シャリマーと言っても、言い過ぎではないほど。


オリジナル(パルファン)は1925年作られ、以来100年近くも愛されている香りなだけあり、シャリマーにはかぐたびに新たな発見がある。常に新しい技術が開発され続けるコスメティックという分野で、100年近くの間、輝き続ける商品など滅多にない、まさに芸術の香り。