THE DIFFERENT COMPANY
SUBLIME BALKISS(2008年)
調香師:セリーナ・エレナ
おすすめ度:★★★★☆
画像:公式HP
スブリームバルキス(荘厳なバルキスの意)は、旧約聖書に登場するシバの女王(本名はバルキス)を冠したフレグランス。その壮大なネーミングとは裏腹な、ウォータリーなフローラルグリーンの淡いシプレの香り。どこか神秘的で、そして美しい。
トップはシトラス・グリーン。
スプレーすると、ベルガモットの爽やかな酸味と、少しメタリックなバイオレットグリーン。そこにカシスのみずみずしいフルーティな甘さを添えた、ウォータリーなシトラスグリーンの香り。
ミドルはグリーン・フローラル。
鼻先にはフレッシュなベルガモットグリーンを香らせながら、みずみずしいカシスの硬さに、凛としたミュゲの青さ、さらにはライラックの淡いフローラル甘さを重ねたグリーンフローラルの香り。派手さのないフローラルが、まるでみずみずしい冷たさにコーティングされたような、美しいグリーンフローラルの香り。
そこから、少しずつミュゲの硬さやローズの明るさ、さらにはオゾニックが出てくるものの、ムスクがオゾンの粗を整えている。
ベースはフローラル・シプレ。
フローラルグリーンの余韻を残したまま、パチョリやムスクを加えたライトシプレの香りに。ヒースのグリーンアロマティック感がナチュラルなアクセントを加えている。
その淡いフローラルシプレに、カカオのようなビターな甘さを添えながら、ドライダウンしていく。
前半の2時間はウォータリーなフローラルグリーン。後半はヒースのアロマティックなグリーンを立たせながら、なめらかなフローラルシプレの香りとなり、全体では4~5時間持続する。
春にとても似合う香り。トップからミドルの香りは、爽やかな緑色の風、カシスのみずみずしい青さ、そしてウォーラリーなフローラル。どの部分を取っても春を思い浮かべる。
でも、そこから評価が分かれるのでは。オゾンの重さや、ヒースのアロマティック感が時間の経過とともに重く暗くなっていき、それらを淡いシプレやムスクでマイルドに仕上げているが、どちらかといえばメンズ寄りの香りだと思う。また湿気と相性が悪いため、夏だとベースがより沈んで感じるかもしれない。
シバの女王バルキスの香りは、フレッシュやシトラスとグリーンを添えた、ウォータリーなフローラルのみずみずしさを楽しめ、特に4~5月にかけて無性に恋しくなるような、長年愛用している春の香り。