DIOR
MISS DIOR BLOOMING BOUQUET(2014年)
調香師:フランソワ・デュマシー
おすすめ度:★★★☆☆
画像出典:公式HP
2021年9月10日現在、アットコスメを見てみると、このブルーミングブーケのクチコミは2494件、フレグランス(レディース)のランキング3位、さらには殿堂入りとある。改めて、本当に人気のある香りだと感じる。
誰からも嫌われない香りだと思っていたブルーミングブーケ。でも、ここまで人気が持続するのは、誰からも嫌われない香りというよりも、この香りが大好きでずっと使い続けている女性が多いのではと想像する。
そして、男性だけど、このブルーミングブーケは好きな香りだ。
トップはシトラス。
スプレーすると、マンダリンオレンジと少しフルーティなベルガモットの香り。明るくみずみずしい、とてもフレッシュな幕開け。
ミドルはフローラル・フルーティ。
シトラスの明るさに、清楚なピオニー、フレッシュなローズ、みずみずしいジャスミンが香る。そこにピンク色のピーチを忍ばすことで、フローラル全体をとても可愛らしく演出している。まるでシトラスからフローラルブーケがパッと花が開くような、スプレーしてから2~3分の香りがとても秀逸で、まず嫌われることがないのでは。
そこから明るくフルーティなオレンジとピオニーが重なった香りは個人的にもかなり好みで、じっくりかいでみると、高いところからピオニー、ローズ、ジャスミンが折り重なっていて、ピオニー、ローズ、ジャスミンの順で減退していく。
ベースはムスキー。
ローズやジャスミンの残香に、パチョリを少し加えたライトシプレに、清潔感溢れる白いムスクの香りをしっかり効かせたままドライダウンしていく。
明るくフレッシュなフローラルから、少しずつ可愛らしさを加え、最後はフローラルの残香をムスクで包み込んでいく香りが、3時間くらい持続する。
明るく可愛らしいイメージのフローラルブーケの香りで、春から夏にかけて、特に日中にとても似合う香りだと思う。秋冬であれば、よりフルーティの甘さを効かせたアブソリュートリー ブルーミングの方が良いかもしれない。
嫌味のないフローラルブーケの香りで、どの部分を切り取っても、すべての嗜好が良い。それでいてコロンのように香りが軽く、あっという間に消えてしまう。その嗜好性の良さと淡さが、2014年の発売以降、日本でも不動の人気を誇っている理由なのではと思う。
トップのベルガモット、ローズやジャスミンについては、ディオールらしい上質な素材感が顔を出し、さらにベースにパチョリを加えることで、シンプルなムスクだけではなく、シプレを感じることができる。
元々ミスディオールはシプレの名香として、フレグランス史に名を残している。ブルーミンブーケについては、わずかながらもシプレの面影を残した、現代版アレンジなのではと感じる。
とはいえ、ミスディオールは迷走を続けている。代が変わるごとに香りの方向性まで変わってしまい、新作をチェックするたびにショックを受ける。
そんななかで、ブルーミングブーケこそがミスディオールの最後の砦のようにも思えてくる。リニューアルしないことを切に願う。