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トムフォード:カフェ ローズ

TOM FORD

CAFE ROSE(2012年)

調香師:アントワーヌ・リー

おすすめ度:★★★☆☆

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画像出典:公式HP

 

カフェローズは「真夜中の庭園」という意味を持つジャルダン ノワール コレクションの一つで、このコレクションはヨーロッパに咲く4つの花々に全く新しい解釈を加えたとされ、現在で残っているのはこのカフェローズのみとなってしまった。

 

スパイシーを効かせた官能的なローズを、コーヒーやウッディでダークに装飾した香り。華やかなローズを堪能しながら、ローズ以外の甘さを排除し、ウッディの重厚感を加えることで、メンズでも纏えることができるのではと感じている。公式にある、ダークブラウンの薔薇の花に囲まれたようなイメージ。

 

トップはスパイシー・ローズ。

スプレーすると、まずブラックペッパーの苦みの強いピリッとしたスパイシー感が鼻を突く。さらにグリーンを効かせたフレッシュローズが、サフランと共に華やかに拡散していくオープニング。

 

ミドルはローズ・スパイシー。

辛くて青みがかった鋭いローズとは別に、真っ赤なローズの甘さや酸味がサフランを伴って、香り全体を赤く染め上げていく。さらに、ピンクイメージの可愛らしいローズの甘さも顔を出し、ローズの香りを複雑にしている。

スパイシーをまとった多彩なローズの香りに、ローストしたようなコーヒーの苦味を添えることで、少しずつビターでダークな雰囲気が醸し出される。

 

ベースはウッディ。

鼻先はスパイシーなローズをしっかり香らせながら、奥からはトムフォードらしい暗いパチョリが、ローズに生っぽく艶やかな雰囲気に仕立てていく。その官能的なパチョリローズを、サンダルウッド、インセンス、ドライアンバーの重厚なウッディーが、ローズの甘さを、乾いた暗い闇に沈めていくようにドライダウンしていく。

 

実際に肌に乗せると、スパイシーに包まれた、棘付きローズの刺すような香りがセクシーに香り立つため、スプレーした瞬間は少し慌てる。そこから深みを増しながら、華やかなスパイシーローズが3時間くらい、そしてコーヒーの苦みやウッディの暗さを加えながら、最終的には6時間近く持続する。

 

鋭くも華やかなスパイシーが、乾燥した空気とキレイになじむ。さらにローズがパチョリやサンダルウッドの暗さに包まれている様が、秋冬の夜を連想させる。

 

カフェローズには、ローズドメイ、トルコ産ローズ、ブラガリア産ローズの3種類のローズが使われている。ローズドメイはトップからミドル、トルコ産はミドル、ブルガリア産はミドルからベースに欠けてそれぞれ感じ取ることができる。

私の肌の場合、ローズ、サフラン、サンダルウッドの鋭さが少し強めに出るため、男性が纏うにはやや不自然で、正直、女性の方が似合うのでは感じてしまう。

 

カフェ部分は思ったよりも主張してこない。もう少しコーヒーの香ばしい苦みが香ってくれれば、ドンピシャのローズウッディの香りになったのにと思う。

ところが、友人の腕につけてみると、ローズがほとんど香らず、籠もったビターなコーヒーのみが香っていた。使う人によって香り立ちが大きく異なるため、もちろんカフェローズに限らず、フレグランス選びは、まず自分の肌で試すことを再認識させてくれた香り。