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ラルチザン:アンバー エクストリーム

L’ARTISAN PARFUMEUR

L'EAU D'AMBRE EXTREME(2001年)

調香師:ジャン=クロード・エレナ

おすすめ度:★★★★☆

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画像:公式HP

 

ラルチザンの代表作「アンバーエクストリーム」は甘いお香の香り。

元々、アラビアンナイトのイメージした、L'EAU D'AMBRE「ローダンブル」(1978年)があり、その世界をより極めたエクストリームバージョンで、東洋のお香やスパイスにバニラやトルコのバラをブレンドしたとしている。

 

トップはスパイシー。

スプレーするとナツメグやカルダモンのピリッとした強いスパイシー感が、鼻先からを刺激する。特にカルダモンのスモーキーの側面と、奥から香り立つオリエンタルな甘さが、東南アジアのお香のようなイメージを彷彿させるオープニング。

 

ミドルはオリエンタル。

スパイシーを立たせながら、トップからミドルに移行する時、ローズ・パチョリに、スパイシーが合わさることで、一瞬、梅を思わせるような日本的な雰囲気を感じる。

徐々にスパイシーが抜けると、パチョリやローズ、サンダルウッドで、少し湿り気のある、柔らかなオリエンタルのお香を思わせる香りとしてまとまっていく。

 

ベースはアンバー・ウッディ。

サンダルウッド、パチョリ、ベチバーの柔らかいお香に、スパイシーなドライアンバーが迫力を与えていく。やがて、バニラやトンカビーンの白い甘さが重なることで、ドライなお香の香りとしてドライダウンしていく。

 

前半のスパイシーなお香から、東洋的なお香に移行し、最後はオリエンタルアンバーにお香を添えたような香りとなり、全体では6時間程度持続する。

ベースの温もりのあるアンバーやアンバー、甘いオリエンタルの香りで、秋冬の寒い季節に似合う香りだと思う。

 

昔はこのアンバーエクストリームに対して、とにかくお香の香りだと思っていた。

ところが、少しずつ香りのライブラリーが蓄積された現在では、アンバーエクストリームはその名の通り、アンバーの香りだと感じている。

 

そのアンバーを縦串とすれば、スパイシー、オリエンタル、ウッディを横串に置くことで、それら横串にドライアンバーの焦げ感が重なった結果、様々なお香風の香りを楽しめるような、とてもバランスの優れた香りだと思う。

でもこのバランスの良さがアンバーエクストリームの魅力でもあり、逆に言えば弱点かもしれない。

 

バランスが良い香りの宿命として、特出したキャラクターに欠けるため、次のようなシチュエーションの場合、競り合う相手のキャラクターが強烈すぎて、アンバーエクストリームに手が伸びにくくなる。

 

もっとスモーキーなお香で心を鎮めたい=ボワダルメニ

もっとオリエンタルなアンバーに包まれたい=コロマンデル

もっと華やかなウッディに浸りたい=レサーブルローズ

もっとスモーキーなウッディに浸りたい=ダービー

もっと甘いアンバーに溺れたい=バカラルージュ

もっと焦げた甘さに沈みたい=ポアブル23

 

そしてふと感じたことは、様々な理由を付けることで、そのフレグランスを買うことを正当化する技術も上がっているな、そりゃライブラリーも増えるよ、と冷めた自分もいたりする。

まだまだ今年もフレグランスを巡る旅は続く。