JO MALONE LONDON
NECTARINE BLOSSOM & HONEY COLOGNE(2005年)
調香師:ジョー・マローン
おすすめ度:★★★☆☆
画像出典:公式HP
ジョーマローン ロンドンのラインナップのなかで、創業者ジョー・マローンが調香した作品にそれほど多くない。なぜなら、彼女は2006年にジョーマローン ロンドンを去ってしまったから。このネクタリン&ブロッサムは彼女が調香した最後の作品であり、現在でも人気のある香りだ。
ロンドン、コベントガーデンの早朝のマーケット。果汁たっぷりのネクタリン、ピーチ、カシス、それに繊細な春の花をアカシアの蜜のノートに溶け込ませた、甘く、明るく、遊び心のある香り。
トップはフルーティ・グリーン。
スプレーすると、少し熟したようなやわらかいピーチの甘さ、そしてみずみずしく締まったカシス、さらには乾いた石のような硬いグリーンノートが香る。このグリーンノートは個性的であるが、ナチュラルな雰囲気をうまく醸し出している。
ミドルもフルーティ・グリーン。
そのグリーンノートはメタリック感が増して、少しキンキンとうるさくも感じる。それでも、ピーチも酸味やハニーの甘さが負けないくらいしっかり香るため、そこまで気にならない。
ベースはフルーティ・パウダリー。
やがてグリーンノートの角が取れ、ピーチの甘さがまろやかになっていくことで、青みがかった酸味が引き出され、熟す前のプラムの芯のようなイメージに。それらフルーティの乾いた甘さを、最後はやわらかいパウダリーと調和しながら、上品にまとめられ、ドライダウンしていく。
どちらかといえばミドルがなく、トップとベースのみで構成された香り。完熟したピーチにグリーンを効かせた甘さが2時間弱、そこからハニーで補強したピーチの甘さをパウダリーで包んだような香りになり、全体的には4時間くらい持続する。
グリーンや酸味が効かせた、春から初夏にぴったりなフルーティの甘い香り。しかし、湿度の高い真夏に使うと、パウダリー感や甘さが増し、少しむせるような重さを感じる。
個人的には春や夏よりも、グリーンの苦味と甘いパウダリー感の組み合わせがどこかスエード的で、秋に使いたくなる香り。
じっくり香りをかいでみると、一つ一つの香りが粗削りにも映るが、その全体像は完熟したピーチのキャラクターがしっかりして、一度かぐとしっかり記憶にインプットされる。
とはいえ、ジューシーではない完熟したピーチの甘さ、さらに一歩間違えると青くささとも取れるグリーンを合わせた香りは、好き嫌いが分かれるのではと感じる。
キャッチーなピーチの甘さや酸味、さらにパウダリーな感じが、フレグランスよりも、むしろボディクリームに向いている香りだと思っている。