PENHALIGON'S
BLENHEIM BOUQUET(1902年)
調香師:不明
おすすめ度:★★★☆☆
画像:公式HPより
ブレナムブーケは、ペンハリガンを代表するメンズフレグランス。
元々ペンハリガンは、一軒の理髪店からスタートしたブランドだけあり、ブルナムブーケは当時の理髪店や、英国紳士達の身だしなみが伝わってくるような香り立ち。さすが100年以上も愛されただけあって、香りが歴史を語ってくれる。それほど出番はないものの、時おりこのクラシカルなシトラスウッディの香りに身を委ねたくなる。
トップはシトラス・ハーバル。
スプレーするとキリッとしたレモンと、少しビターなライムに、ローズマリー、ユーカリ、ラベンダーなどのハーバル調が、シトラスを清々しくもカチッとした佇まいに仕上げているようなオープニング。そして、このすっきりとしたトップをかぐと、何となく背筋が伸びるような、、、。
ミドルはアロマティック・スパイシー(ブレナムブーケにはミドルがないけれど)。
ビターなシトラスやハーバルに、シャープなブラックペッパーを添えることで、男性らしい硬質感が増していく。そんな硬さから離脱していくように、ラベンダーのアロマティックな柔らかさが、際立っていく。ここにムスクというよりもラクトンのような白さが、ラベンダーの甘さを見えやすくしている。
このビターで柔らかく落ち着いた香りが、厳格なクラシカルな雰囲気を作り出している。
ベースはウッディ・ムスキー。
ドライなセダーウッドを柱に、ピリッとしたブラックペッパー、パインニードルのすっきりとした針葉樹の硬さ、それらを少しモタッとしたムスクが包み込んだような香り。スパイシーなウッディムスクの随所にラベンダーの甘さを漂わせることで、どことなく品格を保ちながらドライダウンしていく。
改めてかいでみると、トップとベースという構成に納得する。前半の1時間はフレッシュなシトラスハーバルの、若々しさとビターな大人らしさが混在した香りに対して、後半のウッディムスクは渋く、少しくたびれたように3~4時間持続していく。以前は、このベースが少し渋すぎると思っていた。でも最近では、ウッディのビター感がナチュラルで、ムスクが淡く、ラグジュアリー感がないため、これはこれで使いやすいのではと感じている。
ブレナムブーケは硬派なシトラスウッディの香りだと思う。レモンやハーバルなど、それぞれの香りがストレートに顔を出し、さらにそのシトラスのビター感や、ラベンダーのアロマティック感がクラシカルで落ち着いている。
元々、このブレナムブーケは、英国オックスフォードシャーにあるマルボロ公爵の邸宅、ブレナム宮殿にインスピレーションを得て誕生したされる。
まるでこの宮殿のように、ブレナムブーケは、時代を超えて紳士たちに愛されてきた、控えめでありながら完璧な気品を醸し出す、どんなシーンにも美しく調和する香り。