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ペンハリガン:ヴァーラ

PENHALIGON'S

VAARA(2013年) ※廃番

調香師:ベルトラン・ドゥショフール

おすすめ度:★★★☆☆


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いつの間にか日本も、そして本国でも廃盤となっていたバーラは、ペンハリガンがマハラジャ・ガジ・シン二世のために創られたフレグランス。

 

初めてバーラをかいだとき、そのコンセプト、名前、パッケージから、もっと攻めた香りを想像していたけれど、とんでもない。インドを髣髴させる、壮麗なパッケージイメージとはうらはらに、その香りはとても嗜好が良く、スパイシーなローズとマルメロを軸に、まるでスライドショーのように色々な香りが現れてくるような、華やかで、どこかエキゾチックな香り。

天才ベルトラン・ドゥショフールが織り成す香りは、良い意味で裏切られる香りが多い。

 

トップはフルーティ・フローラル。

スプレーすると、ざらっとしたグリーン感の強いアップルにも似た、マルメロのジューシーな香りや、サフランやコリアンダーを効かせたエキゾチックなスパイシーなローズを横串に、縦串として鋭いサンダルウッドで突き刺したような香り。パッとした印象は派手、でも嗜好とキャラクターのバランスが良い、とても気持ちの良い幕開け。 

 

ミドルはフローラル。

トップのスパイシー感をしっかり残しつつ、甘さを増したローズや、マルメロを分解したようなハチミツとキャロットシード、さらにはマグノリアの爽やかなホワイトフローラルや硬いフリージアの香りなど、甘さや辛さ、みずみずしさ、青さなど混ぜ合わせたような複雑な香りが展開していく。

常に中心を陣取るスパイシーなローズの華やかさを感じながら、万華鏡のように様々な香りが顔を出すために、かいでいてハッピーな気持ちになる。

 

ベースはウッディ・ムスキー。

ローズのエキゾチック感が落ち着いてくると、ピオニーにハチミツの甘さを加えたフローラルノートやサンダルウッドを、トンカビーン、ソーピーなムスクがまとめていく。そして何となくトップの印象に戻ってきたような雰囲気のまま、ドライダウンしていく。

 

持続時間は4~5時間程度。香りは複雑で目まぐるしい変化するものの、しっかりとフルーティが感じられるフローラルフルーティが2時間程度、そこからハチミツのフルーティに近い甘さを持ったフローラルウッディへと進むため、シングルノートのような香り立ちにも感じる。

 

秋冬向きなスパイシーローズを、爽やかなフルーティやみずみずしいフローラルで装飾し、色合いをはっきりさせた香りで、ポカポカした春や秋の日中や夏に似合う香りだと思う。

 

サフランローズと、サンダルウッドもしくはウードを組み合わせた、いわゆるエキゾチックなローズの方程式どおりの骨格に、嗜好の良いフルーティフローラルを重ねることで、華やかなローズを堪能しながら、嗜好が良く、気分が高揚するような明るさがある。さらに他とかぶることがなく、性別を問わない、とても優れた香りだと思う。

 

とはいえ、残念ながら廃番になってしまった。確かにあまりペンハリガンらしくない香りで、このらしくなさが理由で廃番になってしまったのだろうか。