CHANEL
CHANCE EDT(2003年)
調香師:ジャック・ポルジュ
おすすめ度:★★☆☆☆
画像:公式HPより
チャンスはその名のとおり、まさにチャンスを掴んだシリーズ。N°5を除けば、おそらくシャネルの中でもっとも成功したシリーズなのではと思う。
でも、世界香水ガイドによるとチャンスは元々ココマドモアゼルのVer.2として開発されたらしい。さらに、いつの間にかチャンス=ピンク(オータンドゥル)に取って代わられたのを見ると、このオリジナルのチャンスはもうその役割を終えてしまったかのように映ってしまう。
トップはフルーティ・スパイシー。
改めて、美しいラウンドボトルをスプレーしてみる。まず桜桃やパイナップルなどの少しベタ甘いフルーティを、レモンやピンクペッパーが明るく爽やかなフルーティに仕上げているような香り。そして、ベースいてほしいパチョリが、すでにはっきりと香ることで、アーシーな香りが感じられ、少々鼻に付くようなオープニング。
ミドルはフルーティ・フローラル。
フルーティパチョリに、みずみずしいジャスミン、清々しいヒヤシンスのグリーン、明るいローズなどがフローラルな厚みを添えることで、フルーティな甘さを華やかでエレガントな香りに整えていく。
ベースはシプレ・ムスキー。
意外にフローラルの香りが軽いため、フローラルから先に減退していく。残されたフルーティの残香に、パチョリやオークモスを加えたフルーティシプレの香りに。そこからベチバーでウッディ感を補強しながら、最後はムスクや白っぽいバニラで包み込むようにドライダウンしていく。
あまり季節を問わない香り。でも、フルーティな甘さにしっかりパチョリを効かせた香りで、夏だと暑苦しいと思う。
トップのフルーティが強く、さらにパチョリがフルーティの甘さを後押しするため、途中のフローラルが飲まれてしまい、シングルノートに近い香りが4時間くらい持続する。
フルーティな甘さをパチョリリッチなシプレで、シャネルらしいラグジュアリー感で仕上げたような香り。
ココマドモアゼルと同様に、確かにどちらもシプレ調であるものの、このチャンスはシプレ感を大味にして、スパイシーやグリーンで爽やかにまとめたように感じる。そのため、フルーティが甘すぎる、パチョリが効きすぎているなど、少し粗さも見えてしまっている。
であれば、より洗練されたシプレを楽しめる姉貴のココマドや、もっと嗜好性の高い妹のオータンドゥル、さらには魅力的なフルーティを多く揃えるキリアンなどをおすすめしたい。
チャンスはチャンス家の長女でありながら、実は養女だった!的な存在。