フレグランスアッセンブル

フレグランスの香りの変化を解析するサイト

ゲラン:アクアアレゴリア ジンジャー ピカンテ

GUERLAIN

AQUA ALLEGORIA GINGER PICCANTE(2019年)

調香師:デルフィーヌ・ジェルク

おすすめ度:★★★☆☆

 

f:id:captain_dora:20220119192137j:plain

画像:公式HP

 

ジンジャーピカンテは、アクアアレゴリア20周年の節目の2019年にココナッツフィズと同時発売された作品(その少し前に。それまではアクアアレゴリアは、毎年新作1品が発売され、既存4品と合わせた合計5品展開だったが、2019年以降は新作2品、全12品展開まで拡大されるようになった。

 

最初、ジンジャーピカンテをかいだ時、爽やかなシトラスにジンジャーのアクセントを効かせたキャッチーな香り立ちに、これまでのアクアアレゴリアとは違った目新しさを感じたことを憶えている(逆に、一緒にチェックしたココナッツフィズは、それ以降一度もかいでいない)。

 
トップはスパイシー・シトラス。
スプレーすると、爽やかなレモンとジンジャーの香りに、とてもみずみずしいベルガモットの甘さが重ねってくる。ジンジャーはレモンと合わさることで、辛さよりもフレッシュな印象が立ち、そこにベルガモットの甘さが加わることで、ジンジャーソルベという表現がぴったりな香りだと思う。
 
ミドルはスパイシー・フローラル。
鼻先では爽やかなレモンジンジャーを感じながら、そのジンジャーやベルガモットの硬さがアロマティック的に香る。
奥からはブラックペッパーを効かせたピンクイメージのローズが広がっていく。鼻先をペッパーでくすぐられながら、太陽を浴びたようなローズの明るさや、シトラスジンジャーの爽やかがとても気持ち良い。
 
ベースはフローラル・ムスキー。
フレッシュなジンジャーローズに、淡いムスクやセダーウッドを加え、キラキラしたローズを留めながら、そのままドライダウンしていく。
 
ベース部分は淡く、フレッシュなジンジャーローズが2時間くらい広がり、その後はムスクの仄かな香りが4時間程度持続する。
 
しっかりジンジャーが主張してくる。温かみのあるジンジャーではなく、爽やかなシトラスに包まれたフレッシュなジンジャー。そこに明るいローズを重ねることで、春から夏の晴れた日中に、乱反射したように輝く太陽の下で使いたくなる香り。

 

ピカンテとは辛いの意味。ジンジャーピカンテは常にジンジャーのナチュラルな辛みを感じながらも、レモンの爽快感、ベルガモットの甘さ、ローズの明るさ、それぞれの個性を良さを引き出すような役割を見事に演じている。

アクアアレゴリアらしい素材へのオマージュ、嗜好の良さ。ジンジャーピカンテはそこにしっかりキャラクターを立たせることで、良い香りで終わらせない、とてもバランスの取れた香り。