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シャネル:1932

CHANEL

LES EXCLUSIFS DE CHANEL 1932(2016年 ※EDTは2012年)

調香師:ジャック・ポルジュ

おすすめ度:★★★★☆

 

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画像:公式HP

 

1932は、シャネルが最初にして唯一のハイジュエリーコレクション「Bijoux de Diamants(ビジュー ドゥ ディアマン)」が発表された「1932年」から採られた作品。

このコレクションは、ダイヤモンドを贅沢にあしらった星やコメット(彗星)をモチーフに、永遠の光をまとった女性たちを崇めたジュエリーだったとのこと。

 

そして、その80年後の2012年に発売された1932も、夜空に輝く星座のような煌びやかな香りに仕上げられている。

 

トップはフルーティ・アルデヒド。

スプレーすると、爽やかなグレープフルーツとみずみずしいペアの香り。奥からアイリスを含んだアルデヒドが、いわゆるクラシカル調やソープ調ではなく、ジューシーなペアの甘さを、上品でなめらかな印象にまとめ上げているようなオープニング。

 

ミドルはフローラル・パウダリー。

そんなフレッシュなペアを香らせながら、アルデヒドに包まれたネロリの眩しさがキラキラと広がっていく。一瞬、N°22の輝きが重なるものの、すぐに主役のジャスミンの官能的な甘さ、さらにはアイリスの柔らかくも深みのあるパウダリー感が、ペアやアルデヒドフローラルの輝きをより引き立てているような香りで、とても美しい!

しばらくすると、イランイランの華やかな印象が加わることで、ジャスミンのフローラル感の厚みが増し、ペアジャスミンからジャスミンペアの香りに移ろう。さらにアロマティックなベチバーの奥行きが、いかにもシャネルらしい洗練した雰囲気に整えていく。

 

ベースはウッディ・ムスキー。

やがて、それまで別々だったジャスミンペアと、アイリスやベチバーのなめらかなウッディが一つにまとまっていく。それぞれのパーツを見ると、ペアのジューシーな甘さ、ジャスミンのインドールの強さはかなり荒削りに感じる。でも、柔らかいウッディやさらにはムスクに包まれることで、ペアやジャスミンが個性としてその存在感を光らせ、みずみずしいジャスミンペアがずっと感じられる。

最後はインセンスを香ばしさやバニラの甘さを加えたウッディムスクが、香り全体に柔らかさを与えながらドライダウンしていく。

 

前半のキラキラしたペアジャスミンが2時間くらい、そこからみずみずしいジャスミンを帯びたシャネルらしいフローラルウッディムスクが5~6時間持続する。

 

太陽の陽射しのような明るいアルデヒドホワイトフローラルに、ペアがはっきりとした輪郭を描き、ジャスミンの鮮やかさを補強したような、色合い豊かな春夏に似合う香り。

 

正直、ペアジャスミンの香りはいわばどこにでもある。それが「ダイヤモンドの星座」のように見事に装飾され、さらにシャネルらしい奥行きも持たせた、見事な調香だと思う。

 

シャネルらしいフローラルアルデヒドのスケッチに、ジャスミンやイランイランのややもすればケバケバしくもなりそうな官能的なフローラルにアイリスで丸みを持たせ、その分厚いフローラルをグレープフルーツの爽やかさやペアのみずみずしい甘さで覆うことで、まるでダイアモンドの輝きのように見立てた香り。

実際に肌に乗せると、ジャスミンに押し出される形で、ペアのみずみずしい甘さが弾けるように香り、とても嗜好が良い。それでいて安っぽくなく上品。随所にゼクスクルジフならではの洗練さも感じられる。

 

何気ない日常でハイジュエリーなんて使えない(そもそも持っていない)。ドレスアップに向いた香りも浮いてしまう。

それでもほんの少しだけ、華やかに着飾りたい。

1932はまるで小さな一粒ダイヤのような煌めきを、そっと宿してくれる香り。