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新作フレグランスチェック:キャロン コロン・スブリーム

CARON

コロン スブリーム

2022年6月29日全国発売


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画像:公式ホームページ

 

 

キャロンは1904年に創業されたフレグランスメゾンで、近年、新しく生まれ変わった。2021年に伊勢丹サロンドパルファンで登場するなり、瞬く間に人気となった。

その最新作「コロン・スブリーム」全5作品をチェックしてきた。

 

今回のコレクションは「コロン」をコンセプトとしているものの、カテゴリーとしてはオードトワレとオードパルファムの中間くらいの賦香率(12~18%)とのこと。

実際に香り立ちをチェックしてみると、スプレーした瞬間は、コロンのような軽やかな香りが弾け、その香りの面影を残しながら、まるで余熱のようにふんわりと持続していく作品が多い。

 

コロン・スブリームでは5種類の香りで、とある夏の一日の移ろいを表現したとのことで

アンビジーブル・キ・ルイ(朝)

シャン・ブルー・デュ・シェル(午前中)

イーヴラ・ド・リベルテ(昼~午後)

アンビタシオン・オー・ボワヤージ(午後~夕方)

ルァー・バガボンド(夜)

という流れになっている。

 

早い時間帯の作品は、フレッシュなシトラスやフローラルの明るさ、海からの風や太陽の陽射しを楽しむ香り。それに対し、遅い時間帯の作品になるほど、香りもより個性的になっていくようだ。

 

それでは、夏の1日をイメージした香りの、パッとかいだときの印象を追ってみたい。

 

 

アンビジーブル・キ・ルイ

大胆な未知の世界を表現した香り。

スプレーすると、爽やかなシトラスや、どこかクラシカルな佇まいに、ネロリやオレンジフラワーが明るさが調和した香り。かいだ瞬間、いくつもの香りが思い浮かぶ。その既鼻感が心地よく、鼻に優しい。

30分経つと、キリキラしたネロリの奥から顔を覗かせる、ジャスミンサンバックのティーのようなアクセントが、はっきり主張せずに、曖昧でどこか気だるい印象に映る。つまり、気だるい夏の休日の朝、目覚めとともに浴びたくなるような香りだと思う。

ちなみに「調香師ジャン・ジャックが現代的なひねりを加え創り出した、驚くべきアコード、メタリックなアクセントを持つ『プラチナムアコード』」は、初見では分からなかった。

 

シャン・ブルー・デュ・シェル

天国の地平線をイメージした香り。

スプレーした瞬間、グレープフルーツとペアのようなみずみずしい香りが弾ける。このペアと感じた部分は、グレープフルーツとCO2抽出したピンクペッパーかもしれない。うっすらとマリン調の香りも感じられる。

時間の経過とともに、この香りの骨格がいわゆるメンズ的なアロマティックマリン・ウッディの香りだと気づいてくる。ベースから逆算すれば、アロマティックウッディに、爽やかでフルーティのようにジューシーなグレープフルーツをオーバードーズした香りではと思う。

メンズらしい締まった香りをアクセント役として配置転換することで、まるで夏の太陽のように一気にボルテージが上がっていくシトラスを、どこか洗練にまとめているようにも感じる。

 

イーヴラ・ド・リベルテ

自由に酔いしれるをテーマにした香り。

スプレーした瞬間、レモンバーベナのピリピリした果皮が鼻を刺激する。ここにCO2抽出したフレッシュクリアなジンジャーを加えることで鋭さが増し、鼻を突き抜けるように爆発する。夏全開のシトラスの刺激が気持ちいい。

この香りにはミドルが感じられない。レモンバーベナの果皮のピリピリ感が、いつの間に、ムスクの粉っぽさに移り変わっているようなイメージ。

夏の午後の陽射しに負けないシトラスの存在感と、そのシトラスに寄り添う穏やかなムスクとの調和。その静けさが太陽の熱を冷ましていくようだ。

 

アンビタシオン・オー・ボワヤージ夕

旅へのいざないをイメージした香り。

スプレーすると、みずみずしいシトラスと、少しスモーキーにも感じられるカルダモンの青み、涼し気なバイオレットリーフの青さが重なっていく。

そこに、シナモンのほんのりとした甘さや、ウォータリーなメロン調を添えた、グリーンウォータリーな香り。かなりキャラクターがしっかりした香りだと思う。

グリーンを残しながら静かなウッディやアンバーが漂ってくる。

冷たさと温かさ、青と琥珀のコントラストは、さながら、太陽の夏で火照った肌が、海温によって緩やかに冷やされる感覚に似ている。夏の一日は長い。昼の名残を感じながら、これからの時間のために一度リセットする、、、そんな香り。

 

ルァー・バガボンド

詩的な散歩道をイメージした香り。

そして、今回買ったのはこの作品で、後日、詳細なレビューを書く予定。

 

スプレーした瞬間、爽やかさを通り越したビターなライムやグレープフルーツの香り。かいだ刹那、ピュアディスタンスのアエノータスのほろ苦いシトラスと重なる。

その背後からは同じくビターなパチョリやベチバーの香り。この香ばしさにタバコの雰囲気を感じる。キャラクター重視の攻めたビターシトラスウッディに触れると、ああ夏の夜に着てみたいなと思い、即決した香り。

 

 

この2年間は夏は自粛ムードで、夏の陽気とは真逆に気持ちまでも抑え気味だった。でも、キャロンからの5つの新しいコロンの香りに触れると、今年の夏は俄然楽しみになる。夏らしい夏を過ごそう、キャロンの5つのコロンを片手に。