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ルイ・ヴィトン:ローズ デ ヴァン

LOUIS VUITTON

ROSE DES VENTS(2016年)

調香師:ジャック・キャヴァリエ

おすすめ度:★★★★☆

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(公式HPより)

ルイ・ヴィトンのフレグランスにとって、一丁目一番地の香り、ローズ デ ヴァン。

ヴィトンのフレグランス革命の全てはこの香りから始まった、羅針盤のような存在。

 

2016年、ヴィトンが70年ぶりにフレグランスを復活させるにあたり、世界三大調香師と呼ばれるジャック・キャヴァリエが招聘された。そのジャック・キャヴァリエがまず最初に創り上げた作品こそが、このローズ デ ヴァンである。

あれからもうすぐ5年、今では25作品以上のラインナップまで拡大したヴィトンのフレグランスコレクション。それでも、懇意にしていただいているヴィトンのスペシャリストの方も、コレクションから1本だけ選ぶのであれば、間違いなくこのローズ デ ヴァンを選ぶのとのこと。

 

ローズ デ ヴァンには3種類のローズが使われている。
なかでも柱となっているローズこそ、co2抽出されたグラース産ローズ ド メイで、このローズはヴィトンしか持っていないマテリアルであり、このローズの香りが本当に素晴らしい。
ヴィトン表参道で、co2抽出されたローズやジャスミンのオイルを実際にかがせていただくたびに、その奥豊かな香りに感動する。特にローズは、華やかさとハチミツのような甘さも合わせながら、さらに雑味を取り除いたクリアな香り立ちで、通常のローズアブソリュートと比べて棘感がまるでなく、フルーティな華やかさがある。もし表参道に行く機会があれば、この世界最高のローズ ド メイの香りを堪能してほしい。


そしてローズ デ ヴァンは、この伝家の宝刀のローズを存分に楽しむことができる香りに仕上げられている。

 

トップはローズ・レザリー。

まずスプレーすると、オリスのレザー調やピリッとしたブラックペッパー、そして華やかでクリアなローズ ド メイ。オリスやピンクペッパーをアクセントとした、とてもクールなローズの香り。レザー調の焦げたような印象と華やかなローズの組み合わせが、まるで赤色の革ジャンのような雰囲気で、とても格好いい。

 

ミドルはローズ・フルーティ。

そこから、ローズの甘さというよりも、トロピカル調のピーチの甘さや、柔らかなグリーン調のピオニーを添えることで、若々しく、キュートなローズが顔を見せる。この香りに触れると決まってドギマギしてしまう。

奥からは、魅惑的なオットーローズオイルとウッディの華やかな香り。特にローズは奥の方からどんどん深みを増して、素材の確かさを感じることができる。

クールなローズと、可愛らしいフルーティフローラルと、奥からは魅惑的なローズが重なり合う香り。「まるで呼吸しているかのように、風に揺らめくバラたち」は、その時の風の温度や湿度によって香り方が異なる。梅雨時の今であれば、ピーチの甘さがしっかり立ち、キラキラと明るいローズを楽しむことができるのではと感じる。

 

ベースはウッディ・ムスキー

アンバーやラクトンの甘さ、さらにはセダーウッド、オリスルートがローズの残香を支える。最後はフルーティなローズとウッディを、ムスクが柔らかく包み込んだ香りに。

 

持続時間は4~5時間くらい。ローズの香りを尊重し、ローズを引き立てる香りなので、ベースはあっさりしている。

フレッシュ、フルーティ、クール、エレガント、ナチュラルなど、ローズの様々な表情を楽しむことができるため、一年を通して使うことが出来る。とはいえ、やはりローズが ド メイの名にふさわしい香りで、5月を中心に、4~6月に輝くのではないだろうか。

 

ヴィトンの70年ぶりのフレグランスを任された調香師のジャック・キャヴァリエは、真っ先にローズやジャスミンの畑を押さえに行ったらしい。さらにはその最高の素材をどうやって抽出すれば最高の香りになるのか、抽出を専門とする彼の兄と二人三脚で取り組んだ結果、このco2抽出されたローズや、タービュレンスのジャスミン、ダン ラ ポーのレザーエッセンスなどが生まれたとのこと。

ローズ デ ヴァンは、潤沢な資金と飽くなき情熱が注ぎ込まれた最高のローズを、調香師の技によって、そのローズをしっかり活かしながら、かつどんなシチュエーションでも使えるような汎用性の高い香りに仕上げられている。

 

そう、最近になってようやく(勝手に)理解してきた、ヴィトンフレグランスのスタンス。それは、最高の素材を選び、その素材を活かすため、余計な手を加えないこと(?)。今さらながら、第一作目からそのスタンスが実践されていたことに気づく。

まさにヴィトンのフレグランスにとっての羅針盤の香り=ローズ デ ヴァン。