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ブルガリ:ブルガリ プール オム

BVLGARI

BVLGARI POUR HOMME(1996年)

調香師:ジャック・キャヴァリエ

おすすめ度:★★★☆☆

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画像:公式HPより

 

もちろん個人的な見解であるけれど、いまだにもっともよく遭遇するメンズフレグランスの香りは、このブルガリプールオムだと感じている。

なぜ、このフレグランスは支持され続けているのだろうか。

 

まず、香りがとても良い。世代や性別を問わない、とても嗜好性の高い清潔な香り。正直、この香りを嫌いな人は、ひねくれ者ではとすら感じてしまうくらいに完成度が高い。

全体的には、ウッディ、ムスクを軸とした重厚な香り。しかし、ベルガモットやティー、スパイシーなどが絶妙なバランスで配合されていて、性別、世代を問わない、柔らかく清潔な香りに仕上げている。さすがジャック キャヴァリエ。難を言えば、全体的に香りが薄く、あまり持続しない点くらいでは。
そして、まだフレグランスの世界にどっぷり浸かる前、まるでお守りのように使用していた香り。

 

次に、買い求めやすい価格と、どこでも買える手軽さが、人気の理由だと思う。
あの高級ジュエラーのブルガリのフレグランス(プールオムを中心とした一部)が、かなり手頃な価格で、近所のスーパーマーケットでも買うことができるのも大きいかと思う。

 

トップはシトラス・アルデハイド。

スプレーすると、爽やかなベルガモットとほのかなラベンダー、そしてソープ調のアルデハイドと、うっすらとオレンジの甘さ。かなりキーの高いところでスパイシーノートが効いているため、全体的にとてもすっきりした香りで、清潔感がある。

 

ミドルはグリーン・ウッディ。

ベルガモットからの流れでティーノートがはっきりしていき、そこにブラックペッパー、コリアンダー、ガイアックウッドを合わせることで、軽快でありながら木々のぬくもりを合わせたような、とても気持ち良い香り。爽快なティーノートと香ばしいスパイシーウッディの調和が、この香りのハイライトだと思う。

 

ベースはウッディ・ムスキー。

ウッディとティーの甘さが飛び、ベチバーやオゾンのアロマティック感が増していくことで、少しメンズぽくなるものの、最後はイソイースーパーの柔らかいウッディムスクをしっかり感じさせながらドライダウンしていく。

 

いずれかの香りに片寄ることがない、とてもバランスの取れた、通年通して使用できる香り。

香調を見ても、もっと香りが持続しても良さそうなのに、本当に持続しない。持って3時間程度。スプレーした瞬間、トップのエタノール臭がはっきり出てしまうのをみても、昨今のフレグランスと比較しても賦香率が低いのかもしれない。そして、この香りの薄さも日本で人気の理由かもしれない。

 

このブルガリプールオムの完成系こそが、同じジャック・キャヴァリエが調香したヴィトンのイマジナシオンだと思う。アンバーによって、シトラスやスパイシーの爽やかさ、ティーの深みがより鮮やかに、なおかつなめらかに仕上げられていて、上位モデルと言っても差し支えない。

さらにみずみずしさやウッディ感をはっきりさせたアトリエコロンのウーロンアンフィニや、シトラスを取り除き、ウッディのナチュラル感やムスクの深みを強くしたルラボのガイヤック10が愛用の香りだと考えると、ブルガリプールオム系統の香りは飽きることなく、自然な流れで世代交代できた好例だと思っている。