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トムフォード:マンダリーノ ディ アマルフィ

TOM FORD

MANDARINO DI AMALFI(2014年)

調香師:カリス・ベッカー

おすすめ度:★★★☆☆

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画像出典:三越伊勢丹オンラインストアmeeco

 

私のとってマンダリーノ ディ アマルフィは、トムフォードのプライベートブランドで一番最初に買った思い出の香り。

ラグジュアリーな夏の香りに憧れて、ネロリポルトフィーノと迷った結果、こちらを選んだ記憶がある。この夏前に使いきってしまい、今は手元にはないけれど、今でも店頭に行くと必ず試してしまうくらい好きな香りだ。

 

マンダリーノ ディ アマルフィ。美しい名前だ。

ネロリポルトフィーノ コレクションの3作目の香りとしてリリースされ、世界一美しいと云われるイタリアのアマルフィ海岸をコンセプトにした香り。ボトル色もアマルフィー海岸を思わせるエメラルドグリーンで、カバンの中からこの容器が見えるだけでテンションが上がる。

 

トップはシトラス・グリーン。

スプレーすると、爽快なレモンやグレープフルーツに、バジルのスパイシー感がフレッシュなアクセントを添える。そんなフレッシュシトラスに、ミントやカシスのグリーンや、水っぽいアロマティックな香りを加えることで、まるでアマルフィ海岸の海風を想像してしまうような爽やかなオープニング。

 

ミドルはアロマティック・フローラル。

トップの爽やかなシトラスグリーンに、セージのアロマティック感やマリンノートを加えることで海っぽさが増していく。

そんなアロマティックノートに、オレンジフラワーやジャスミンが重なることで、リゾート地を思わせるような明るくみずみずしいフローラルの香りに。

そこにシソやコリアンダーなどクールなスパイスが、フローラルの明るさを引き締め、冷たい印象にまとめている点が心憎い。クールジャスミンとマリンの融合は、どこか非日常的で憧れる。

 

ベースはアンバー・ムスク。

そこから一気に香りが減退してくる。マリンフローラルの残香に、アロマティックなベチバーや、樹脂の甘さ、シベットのアニマリックなコクやムスクが加わるものの、それらがうっすら香ったままドライダウンしていく。

 

プライベートコレクションはレイアリング(重ね付け)することで、自分オリジナルの香りを楽しむことが目的のため(最近の香りはそうでもない)、このマンダリーノ ディ アマルフィ―もトップ~ミドルの比率が高め。爽やかさ、みずみずしさを纏ったフローラルが1時間くらい拡散し、あとは残香感が漂う。

 

とにかく夏に似合う香りだと思う。溶けるような猛暑に、マンダリーノ ディ アマルフィ―のシャワーを浴びると約30分間、まるで地中海の弾けるような爽やかや青さ、そして海風に揺られた少し冷たいフローラルに包まれる。この冷たいジャスミンがとても色っぽく、ラグジュアリーな気分に浸れる。

ネロリポルトフィーノとはまた違う、青い夏を彩ってくれる香りだと思う。