DIPTYQUE
L'OMBRE DANS L'EAU EAU DE TOILETTE(1983年)
調香師:セルジュ・カルギーヌ
おすすめ度:★★★☆☆
画像:公式HPより
ロンブルダンローはディプティックの代表作であり、一度かぐと忘れられないような強い残像を残す。
摘んだばかりのローズとカシスの実の香り、カシスの葉の植物的なグリーン、蕾が発する酸味のあるフルーティーなアクセント、ローズの力強さ。自然を捉えたスナップショットが感じられる香りとのこと。
かれこれ5年ほど前、初めてディプティック青山店に訪れた際、ひと際目を引いたのはフレグランスではなく、砂時計型のルームディフューザーだった。それらルームフレグランスを試香しているなかで、もっとも気に入ったのは「BAIES(ベ)」で、ローズとみずみずしいカシスの香りが心地よく、同じ香りのフレグランスのこのロンブルダンローを購入した。
ロンブルダンローとは「水に映った影」を意味する名前で、ボトルのラベル裏面には、このイメージに合わせたイラストが描かれている。
トップはグリーン・フルーティ。
スプレーすると、リーフグリーンが鼻を刺激してくる。青草をすり潰したようなグリーン。でも、すぐに真っ赤なカシスが香り、この青臭いグリーンと調和することで、若々しいカシスグリーンで落ち着いていく。
ミドルはフルーティ・フローラル。
キリッとしたカシスのフルーティな赤い甘さに、少しグリーンを効かせたローズの香ってくる。このローズにカシスの葉のグリーンを加えることで、キリッとしながらも甘さのある、ナチュラルなローズの香りに仕上げられている。
ベースはグリーンムスキー。
フルーティなローズに、キーン冷たいとグリーンを効かせながら、最後はなめらかなムスクやアンバーを加え、どのままドライダウンしていく。
強いグリーンとローズの中間にカシスの実と葉を配置した、とてもキャッチーな香り。この赤さと青さが特に春に映えると思う。
持続時間は3時間程度。もし、もう少し長く香らせたいならば、同じ香りのオードパルファンが良いかもしれない。
ロンブルダンローはムエットだと、カシスローズの真っ赤な甘さと、グリーン冷たさやみずみずしさを楽しむことができる。
しかし、肌に乗せると決まって、キャンディーを思わせるカシスのフルーティな甘さがベタっと立ってしまい、爽やかなグリーンが飲まれてしまう。
こういうキリッとしたカシスは好き、さらに真っ赤なカシスは好き、でもカシスの甘さは嫌いということで、カシスの青さを求めるときはブラックベリー&ベイを、カシスの赤さを着飾りたいときはルージュトラファルガーを使うようになってから、このロンブルダンローの出番はなくなった。
でも、この青いカシスグリーンと赤いカシスローズの組み合わせはとても好きで、BAIESのキャンドルはとても良く使う。そう考えると、この香りは、ルームフレグランスがもっとも輝くのではとも感じてしまう。