DIPTYQUE
EAU DE PARFUM EAU ROSE(2022年)
おすすめ度:★★★☆☆
調香師:ファブリス・ぺルグラン
画像:公式HP
ディプティックでも人気のオーローズ。
そのオードパルファンバージョンは、ローズの花をこれまでとは異なる解釈によって、全く新しい多面的で、こぼれ落ちるほど豊かな表情を表した作品としている。
トップはフローラル・フルーティ。
スプレーすると、ほんのりグリーンを帯びたローズウォーターが鼻を刺す。少し遅れて、トロピカル調のフルーティとローズアブソリュートが。このフルーティはローズを際立たせると同時に、香り全体を丸く整え、嗜好を上げていく。
ミドルはフローラル・グリーン。
鼻先はローズのツーンとした香りにくすぐられながら、みずみずしいライチの甘さに包まれたローズオイルの華やかな香りも広がってくる。ライチがローズを明るいピンクイメージに着飾っているようだ。
同時に、アーチチョークと思われるややハーバル調のグリーンや、カモミールのアロマティックフルーティーな硬い甘さがローズに絡まることで、ローズの葉のようなアクセントを添えていく。時間とともに、ローズグリーンと、ローズカモミールの二層がそれぞれ分かれて感じられる。
やがてその二層が合わさることで、良く言えばフルーティのようなみずみずしさを含んだローズ、悪く言えば少しグリーンが生臭く感じるかもしれない。
ベースはウッディ・ムスキー。
そんなグリーンアロマティック調のローズを、セダーウッドを中心にしたウッディで持続させていく。わずかにシナモンリーフのようなスパイシーなクセが添えられているようにも感じる。
最後は淡いムスクを加えながらドライダウンしていく。
持続時間は4~5時間。最初の1時間くらいはローズを軸に、ハーバル調グリーンやみずみずしいアロマティック感がサポートしている。そこから、徐々にサポート側が前に出てくるイメージ。このグリーン感がリアルなローズを表現しているようにも感じる。
青さやみずみずしい硬さをまとったローズの香りで、特に春に、そして夏に似合うのではと思う。秋や冬だともう少し紅さや暗さが欲しくなるのかもしれない。
調香師たちは「素晴らしいローズの花は必ずアーティチョークの匂いがする」と話しているとのこと。
そういった理由からも、このハーバルグリーンを含んだローズの香りは、とてもナチュラルなローズの香りが再現されていると感じる。
オーローズはローズ水という意味だ。アーチチョークでナチュラル感を演出しつつ、ライチのみずみずしさや、カモミールのアロマっぽい硬さが、水のイメージを付与している。
ローズは香りは、そのままですでにフレグランスとして完成されている。オードパルファン オーローズの何層にも重ねられたローズ素材を眺めていると、グリーンやアロマティックで庭のように装飾されすぎているように映る。そうため、逆にローズの生っぽさが鼻に付く時がある。
オードトワレは、(特に前半は)ローズ水という名前に相応しいフレッシュでみずみずしいローズがとても気持ち良かった。
一方でオードパルファンでは、ライチのみずみずしさよりも、グリーンやアロマティックのナチュラル感が勝っている分、ローズ水ではなく、ローズの庭という表現の方がしっくりくる。