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ロジェ・ガレ:エクストレド コロン テ ファンタジー

ROGER & GALLET

EXTRAIT DE COLOGNE THE FANTAISIE(2017年)

調香師:アルベルト・モリヤス

おすすめ度:★★★☆☆

 

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画像:FRAGRANTICAより

 

ロジェ・ガレはその名のとおり、義理の兄弟という関係だったアルマン・ロジェとシャルル・ガレが1862年に誕生させたパフューマリー。ここ数年は日本でも人気があり、特にテファンタジーは男女問わない嗜好の高い香りだと思う。

 

テファンダジーは、スモーキーな紅茶を飲みながら、次第に異国情緒あふれる物語へと引き込まれ夢中になる、時を忘れさせるファンタジーなフレグランスとしている。
 
幻想的にたゆたうスモーキーなティーとはどんな香りだろうか。
 
トップはシトラス・グリーン。
スプレーすると、フレッシュなレモンと、明るいオレンジやマンダリンのシトラスミックスを、針葉樹のキリッとしたグリーンが硬くしていく。そんな爽やかなシトラスグリーンのなかから、ティーの香ばしい甘さがフワッと漂う。
 
ミドルはスパイシー・グリーン。
ティーそのものの強さは変わらずに、グリーンやスパイシーはどんどん強くなっていく。
カルダモンの青っぽくもスモーキーな香りがティーに深みを与え、ナツメグがティーのグリーン部分をメタリックに拡散していく。そんな青さを、ピンクペッパーがキラキラと乱反射させているような香り。
奥からはアロマティックなゼラニウムやセージが、みずみずしい印象を付与している。
香りの大部分がグリーンやスパイシーであるのも関わらず、甘い部分がティーのみのため、逆にティーの存在感が際立つような香り。
 
ベースはウッディ・アンバー。
キーンと鳴り響くスパイシーグリーン部分が剥がれてくると、ベースの鋭いサンダルウッドやドライアンバーがはっきりしてくる。そこにアロマティックなベチバーやベンゾインの甘さを、さらにはコパイバの硬い甘さや、シピオルの土っぽさを添えることで、最後までティーの雰囲気を残していく。最後は淡いムスクを加えながらドライダウンしていく。
 

爽やかなシトラスとグリーンに包まれたスモーキーなティーの香りで、春や夏に似合う香り。

シトラスやグリーンを効かせたフレッシュティーが1時間くらいで、そこからグリーンの余韻を残した、ティーとウッディの香りが3~4時間持続する。

 

一言でいうとアンバーティーの香り。そこにテカシミアのようなメタリックなグリーンを置いたグリーンティーに、ケミカルサンダルウッドで焦がしていくことで、ブラックティーのように仕立てている。全体像はとてもシンプル。

それでもシトラスやスパイシー、ベンゾインなどで仕上げ、さらにムスクは最小限に抑えることでナチュラルな香りとしてまとめている。アルベルト・モリヤスの熟練の技が光っていると感じる。

 

ティー以外の甘さを最小限に抑え、爽やかなシトラスをグリーンで装い、スパイシーでナチュラルさを添え、あえて香水ぽくしていない。特にカルダモンやナツメグがどこか美味しそうに感じられる点が、人気の秘密だと思う。