MAISON FRANCIS KURKDJIAN
AQUA UNIVERSALIS FORTE(2011年)
調香師:フランシス・クルジャン
おすすめ度:★★★★☆
画像:公式HP
メゾンフランシスクルジャンの代表作アクアユニヴェルサリスのクセになる爽やかな魅力に、十倍の磁力、弾けるようなきらめきと強さを増したフォルテバージョン。
トップはシトラス・フローラル。
スプレーすると、清々しいレモンと、みずみずしいベルガモットの甘さが、オレンジフラワーの明るいフローラルと重なり、パッと広がっていく。アクアユニヴェルサリスと比較すると、セドラのキリッとしたシャープさを抑えた、キラキラと眩しいオープニング。
ミドルはホワイトフローラル。
明るいオレンジフラワーに、涼し気なミュゲのグリーン感が、アクアユニヴェルサリスと同様に清潔な印象を与えていく。ローズの甘さもフローラルに厚みを持たせている。
ここからフォルテでは、ジャスミンがパワフルに香ってくる。このエジプト産ジャスミンアブソリュートは肌に触れるとその磁力が増し、まるで太陽のような輝きを一気に拡散させ、凛としたミュゲが何とかアクアユニヴェルサリスとしての体裁を保っているような香り。
ベースはウッディ・ムスキー。
透明な印象のホワイトフローラルのすっきりした余韻を、クリーミーなムスクの包み込んでいく。アクアユニヴェルサリスのソーピーな粉っぽいムスクというより、シルクのようななめらかなムスクの香りが、ホワイトフローラルの清潔感を高めながら、ドライダウンしていく。
太陽に照らされた明るいフローラルを、凛とした硬さで締めたような香りで、まだ空気が冷たい春先の日中にとても似合う香りだと思う。夏場だと、キラキラ輝くフローラルがまぶしすぎるようにも思える。
持続時間は5~6時間くらいで、アクアユニヴェルサリスと大きく変わらない。
むしろ、フォルテという名のとおり、強さと広がりを求めた香りだと思う。
アクアユニヴェルサリスの特徴の爽やかさ、凛とした清潔感を残しながら、フローラルが弾けるため、十倍の磁力という表現は決して誇張でないと感じる。
共にシトラス→ホワイトフローラル→ムスクという構成には変わりなく、アクアユニヴェルサリスの方はベルガモットやオレンジの甘さを、グリーンなセドラやミュゲで引き締め、ムスクで清潔にまとめたような香り。
一方フォルテは、ジャスミンの強烈な磁力を、レモンやミュゲで引き締め、透明感溢れるフローラルにムスクで味付けしたような香り。
フォルテは何といっても、ジャスミンの美しさがとても女性的で際立っている。
ジャスミンの花は、太陽の光が香りを損なう前の早朝に摘み取るという。この美しいジャスミンに、シトラスやミュゲを重ねることで、まるで摘んだばかりの新鮮でみずみずしいジャスミンが再現されている。
みずみずしいシトラスの甘さに凛としたフローラルを添えたアクアユニヴェルサリスと、ホワイトフローラルの輝きにフレッシュなシトラスを添えたフォルテ。
この2つは似ているため、好みな方をどちらか持っていれば良いのではと思う。
私の場合は、甘さと涼しさのメリハリを効かせたアクアユニヴェルサリスの方が使いやすく、そのアクアユニヴェルサリスをアンバーでより厚みを持たせた754を使用することが多い。